2008年1月28日 (月)

エコな築山

冬の夜中、かなり遅い時間にに野外を歩いてみる。例えば土手の横に近づくと、わずかな暖かさがある。土手が風を遮ってくれることもあるけれども、土手から、ふわっとした熱が流れてくるのが感じられる。昼間、太陽の光を受けて土手は暖まり、熱を土中に貯めこんだ。そして日が沈み、気温が下がると、今度は逆に、貯めんこんだ熱は逆に大気中に放出されてゆく。

おそらく地面からも熱が放出されているのだろうが、土手があると、放出面が増えることになる。真っ平らな土地よりも、凹凸があった土地の方が面積は増えて、そのぶんだけ熱の出し入れも大きくなる。もちろん大きな量の熱ではないから、暖かいのは土手の近くだけである。しかし周囲とは微妙に違う微気候ができることになる。

6菜園で、植物の北側に小さな築山をつくる。昼間は南からの太陽の熱を蓄熱し、夜間は放熱する築山。すると東京でも、南方系の植物を育てることができる。ちょっとした工夫で微気候をつくることができれば、栽培できる作物の幅を増やすことになる。

東京などの都会には、コンクリートのビルディングが多数ある。蓄熱、放熱する築山が、文字通り山のようにあると見なすことができる。南方系の植物で埋め尽くすことはできないだろうか。

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2007年12月28日 (金)

台所と直結した家庭水田

東京都武蔵野市の住宅街、Nさん宅を訪問し、家庭菜園ならぬ家庭水田を見学させていただいた。この家庭水田は、台所と深く結びついた優れた水田であり、自律的な水循環システムである(写真は12月末の状態なので、寂しい印象は拭えない。想像力をふるって、春夏をイメージしてください)。

Dsc04916家庭水田の水源となるのは、台所からの雑排水である。雑排水は台所から出た後、住まいの周りにつくられた小さな水路をゆっくりと流れてゆく。水路には小さな貝などのほかに、クレソンやセリ、ミントなどの食用可能な植物が育ち、それらは台所での食材になる。水路はやがて池(ビオト-プ)に流れ込み、そこではメダカたちが泳いでいる。メダカたちのエサ(微生物)になるのも、元はといえば台所から流れてきた栄養分である。

生き物が育つということは、裏を返せば、水が浄化されたということである。過剰な栄養分が吸収された水は、水田稲作にとって手頃な水質(貧栄養)になる。池から出た水は、隣の水田へと流れ、そこでイネが育つことになる。この時点でも、じゅうぶんに飲用に耐える水質は確保されているけれど、最後は砂による緩速ろ過によって、さらに浄化する。飲用水としての水質基準を楽々クリアした水は、再度、台所に送り込まれて、調理用や飲用水として利用される。食材だけではなく、水も提供してくれる。家庭水田は2つの点で、台所と結びついている。

Dsc04922Nさん宅では、この家庭水田は敷地南側にあるので、さらなる副次的効果もある。冬場の太陽の高度は低いから、南からの日射は水面に反射して家に向かってくる。いっぽう夏場は水の蒸散によって、多少なりとも周囲の気温を下げてくれる。植物が育ち、また太陽の高度が高いから、さほど多くの反射はないだろう。

ただ家庭に水田をつくるのではなく、水田の多面的機能を発揮させる。そうすれば、より多くの自然の恵みを生活に生かすことができる。同時に上水や下水道への依存率を小さくすることになり、都市としての持続可能性を上げることになる。

古来より何千年も続いてきた水田稲作は、とても持続可能性の高いシステムだと思う。それを家庭に取り入れるというのは、慧眼だと言わざるを得ない。

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2007年5月12日 (土)

食うか食われるか

我が家では、ミミズの生ごみ処理ボックスを置いている。木製のボックス型のもので、フタを閉めても、わずかに隙間がある。だから、もともとはシマミミズしか入れていないのに、いろんな生物達が棲んでいる。アリ、ササダニ、ハサミムシもいれば、クモが巣を張っていることもある。そのなかで、もっとも大きいのがトカゲ(たぶん日本ヤモリ)である。暖かいを通り過ぎて、暑さを感じる頃になると、どこからかトカゲがやってくる。

Dsc03557他の小さな生物達と違って、トカゲの動きは速い。フタをあけると、素早く逃げてゆく。だから、これまでデジカメで写真を撮ることができなかった。そこで今回はいったんトカゲを捕獲し、ポリバケツに入れた。ポリバケツはつるつる滑って、トカゲは逃げることができない。しばらくするとトカゲは疲れたのか、観念したのか、大人しくなった。大人しくなったところを、ミミズの生ごみ処理ボックスに戻してやってから、写真を撮った。そのあと、どこかへ潜っていった。

生ごみ処理ボックスにエサがあるから、トカゲがやってくる。トカゲは肉食性で、主なエサは昆虫などの小動物だという。小さなミミズも食べているのかもしれない。いずれにしても身体の大きさからすると、生ごみ処理ボックスのなかの食物連鎖の頂点に立っているはずだ。ただしトップに君臨するトカゲでも、ボックスの外に出ると、ムクドリなど鳥たちの餌食になる恐れもある。

ミミズの生ごみ処理ボックスの横には、コンポスト容器も置いている。どちらも家で生ごみを貯めずに済み、そして肥料ができるという点で、いわゆるエコである。しかし食うか食われるか、食物連鎖の無常を目の当たりにできるのは、ミミズの生ごみ処理ボックスである。勉強になる。

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2005年11月 7日 (月)

バイオガスはコプロ

生ごみや糞尿を空気のない状態で発酵(嫌気性発酵)させるとメタンガスが発生し、メタンガスは燃料として利用できる。田下農場では、2つのバイオガス施設が地中に設置されている。発酵槽が8~10立米ほどで、さほど大きな規模ではない。

主な投入物は、人糞尿、鶏糞、近隣豆腐店からのオカラなど。冬期を除くと、家庭用の燃料は自給できている(研修生を含めて)。夏場になると、家庭で消費する以上のガスが発生するため、トマトピューレなど加工食品の製造に利用するそうだ。

一般にバイオガスというと、どうしてもエネルギーを連想しがちであるが、じつはガス発生後に残った液肥は優れものである。液肥は非常に即効性のある肥料であるし、液体であるから散布しやすい。また家畜の補助飼料としても利用できる。空気を遮断した状態での発酵であるから、寄生虫や病原菌も死滅している。写真は液肥の貯留槽。

最近、産業界では「コ・プロダクション」という考え方が注目を集めつつある。物質とエネルギーを同時に生産する(併産)というものである。バイオガスは立派なコ・プロダクションである。エネルギーはもちろん非常に重要であるけれども、物にもしっかり目を向けよう。

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2005年11月 4日 (金)

ヒツジ・トラクター

田下農場ではヒツジが飼われている。杭につないでおけば、動ける範囲の雑草を食べてくれる。杭とヒツジを一緒に移動させてゆけば、人手を使わずして、まとまった面積を除草することができる。そして商品としては出荷できない野菜のクズを食べてくれるし、羊毛も提供してくれるし、最後には肉になる。じつに多くの役割を果たしてくれる。

ところで「お土産」という言葉は、「身をあげる」ということに由来しているそうだ。つまり、この世の土産として自分の身を残し、他へと生命をつないでゆく。だから土産を受け取る側は、感謝の気持ちをもっていただくことが必要だ。

一般にウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジなどは、人間が経済活動のために繁殖させる動物で、「経済動物」と呼ばれる。ただし、お金のためとはいえ、できる限り自然に近い環境で育て、感謝の気持ちを伝えてゆくべきだろう。食前の挨拶「いただきます」には、そんな意味もあると思う。

養鶏農家の菅野芳秀さんから聞いた話だが、ドイツでは2007年から、EU全体としては2012年からニワトリのゲージ飼が禁止になるそうだ。彼の地ではヒツジ・トラクターならぬチキン・トラクターが増えるだろう。

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