シンビオシティ
スウェーデン大使館主催のイベントに参加してきた。テーマは「持続可能な都市の発展」で、スピーカーのおよそ半分はスウェーデンから来日した人々で、スウェーデンの首相や環境大臣のスピーチも聞くことができた。環境問題への取り組みという点では、スウェーデンは世界の最先端を行くと言われている。2005年には、前首相が「スウェーデンは2020 年までに石油不要のシステムをつくる」と宣言し、その政策を現首相も引き継いでいるそうだ。
1970年代の石油ショックを契機に、日本もスウェーデンも脱石油を試み、バイオマスなどの再生可能エネルギーの活用に取り組み始めた。ただし、その後で石油価格が下落すると、ふたたび日本は石油を使うようになり、バイオマス活用はいっきに下火となった。いっぽうスウェーデンは、石油価格が安くなっても、一貫してバイオマス活用に取り組んできた。その結果、現在では1次エネルギーの約2割をバイオマスでまかなうまでになった。日本は近視眼的で、スウェーデンはしっかりと先のことを考えていたと言えるだろう。
ちなみに京都議定書の温室効果ガスの削減目標では、スウェーデンは4%の増加が認められていたが、2006年までに9%削減した。削減余地があるなら、もっと高い削減目標を設定しても良さそうなものである。しかし「これまでに多くの削減してきたのだから、そのぶん排出枠を認めるべき」という主張があったのだろうか。いずれにしても、したたかな国際交渉力である。目標を超過した分については、排出量取引で他国に売ることができる。
さて、今日のイベントで多用された言葉のひとつが「シンビオシティ(Symbiocity)」。新しいビオシティではなくて、いろんな要素をシンクロナイズ(同調)させる都市環境整備のことである。例えばストックホルム郊外の「ハマルビー・ショースタッド」という再開発の事例が紹介されていた。前々から気になっていた取り組みである。
もともとは工業地帯や港湾として使われていた200haのブラウンフィールド(汚染された土地)。1991年に再開発計画を策定し、1995年から土壌処理や造成を開始。1996からはLRT(路面電車)の工事を開始。その後、入居が始まり、現在までに居住人口が1万人を超えている。
シンビオシティとしてのハマルビー・ショースタッドの大きな特徴が、有機物の循環システムである。家庭からの廃棄物は、すべてエネルギー利用と同調するようデザインされている。可燃ごみは焼却場で燃やされて、発電される。生ごみはバイオガスに変えられて、ガスとして供給される。下水は下水処理場で熱処理されるが、そのときに発生する熱でお湯をつくり、住宅地内に供給される。下水から分離された汚泥は、農業で使われる。
また計画地内には、オフィスや商業施設、学校など多様な施設が配置され、明確なゾーニング区分は設けられていない。この点でも「シン」である。
しかし今日のイベント、休憩、パネルディスカッションを含めて3時間ほど。そこで約10人のスピーカーが登場した。1人当たりの時間が短いから、かなり言葉が端折られる。おまけに同時通訳が入る。そのために分かりにくさがあったのは事実である。シン(同調)させようとするものが多くなると、かえってシンとはならない。
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