ポスト石油時代の地域づくり

コロンビア南部にラス・ガビオタスというプロジェクトがある。いまから20年ほど前に始まったもので、荒地になった8000ヘクタールを再植林し、自然を回復しながら、そこで新たな経済を生み出すという取り組みである。再植林の主力であるカリブ松から樹液を採取し、塗料や製紙材料として活用する。パーム椰子のプランテーションも行うことでバイオディーゼル燃料を生産する。モノカルチャーにならないように多様な植物を配置する。

住宅を建てるときには、地元の土でつくったレンガを使う。比較的コストの低い太陽熱温水器など設置したり、風を通すクールチューブを床下に通すことで再生可能エネルギーの活用をはかる。公園のシーソーで遊ぶと、水を汲み上がるようにするなど、子供たちも巻き込んでゆく。

77ラス・ガビオタスは自足的なコミュニティとして、これまで200人の常用雇用者を生み出してきたそうだ。そして雇用のみならず、新たな降雨も生み出したという。対象地域で増加した降雨量は、1日当たりにして40万㎥。1年平均で200mmの降雨量を増やした計算になる。そのおかげで地域の飲料水をまかなうだけではなく、余剰の水は商品として近隣地域や国外までに売られることになった。日本で海外のミネラルウォーターというと、欧米のものが主流であるが、コロンビアのラス・ガビオタスの水も十分に美味しかった。

再植林は1ヘクタールに1千本強で、植林コストは1ヘクタールでUS1000ドル強。合計で1000万ドル弱、日本円にして約10億円である。これを高いとみるか、安いと考えるか。森が回復され、雇用が生まれ、きれいな水が増えるとしたら、決して高くはないだろう。

2日前に、アメリカのエール大学とコロンビア大学が、2008年の環境力ランキングを発表した。第1位がスイスで、その後にスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、コスタリカと続く。そしてコロンビアが第9位である(日本は、省エネルギー先進国だと言っているものの21位)。コロンビアは治安の悪い国だというイメージがあるが、いっぽうで環境という点でも先進的な取り組みは少なくない。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

コロンビアの超熱帯夜

昨日、国立環境研究所が2030年までの地球温暖化予測を公表した。いまさら驚くような結果ではないけれども、基準期間を1951~1970年とすると、2011年~2030年には「暑い昼」が「暑い夜」の増加し、「寒い昼」と「寒い夜」が減少するという予測結果が出たそうだ。ここで言う「暑い」と「寒い」とは、極端な高温ないし低温で、例えば 「暑い夜」とは、夏(6~8月)の期間の日最低気温が、基準期間の夏の日最低気温の上位5%よりも高くなる日だという。l

予測結果によると、極端な高温が発生する頻度が地域によって差異があり、東アジアでは「暑い夜」の頻度が2~3倍になるそうだ。それでも十分に暑くなると思うのだが、南米コロンビア辺りでは6~7倍になるようだ。なおシミュレーションには都市化の影響は考慮されていないから、都市化によるヒートアイランド現象を加味した場合、「暑い夜」はさらに増加することになる。例えば東京では1950~60年代の熱帯夜の日数は10~15日程度であったけれども、2000年以降は30日程度になっている。寝苦しい夏はさらに寝苦しくなっていくのだろう。

何年か前にコロンビアで「暑い夜」を過ごしたことがある。かなりリッチな知人(コロンビア人)の別荘に泊めてもらったのだが、エアコンが設置されていなかった。エアコンを購入する余裕はあっても、都市部から離れているために、エアコンを十分に利用できるインフラが整備されていない。もちろん水道や電気は通っているけれども、断水や停電は日常茶飯事である。ならばエアコンをつけても仕方がない。夜は窓を開け放して寝るしかない。

36僕は自宅ではエアコンはほとんど使わないし、暑い夜に寝るのも慣れていると思っていた。しかし本当に暑かった。おそらく一晩中30℃は軽く超えていたと思う。かなり疲れていたけれども、なかなか寝付けなかった。明け方近くになって、ほんの少しウトウトした程度である。さすがに別荘の持ち主は平気なようで、かなり早くに寝入ったいたようである。写真は起床した直後に撮った写真で、窓は全開。なお、この別荘の軸組みはすべて現地のタケ。

すでにコロンビアは十分すぎるほど暑いのに、これから極端に「暑い夜」が6~7倍にも増えたらどうなるのだろう。おそらく力の弱い人達にしわ寄せが及ぶのだろう。子供やお年寄り、あるいはエアコンを買うことのできない人々、スラムで暮らす人々。省エネの重要性を改めて思い知らされる。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

違法だけど壮観

コロンビア中央部の地方都市、マニサレス。国内有数のコーヒー生産地であるアンテォキア地方の中核都市のひとつで、人口は約30万人。しかしセントラル山脈の山々に囲まれていて、クルマを走らせると、ほどなく農村地帯や山麓にたどりつくことができる。

ある小高い山は、竹の住宅で覆い尽くされんばかりである。2階建て住宅は当たり前で、なかには4階建て住宅もある。すべてがセルフビルドだが、この構法は、もともとはスペイン人によって開発されたものである。新大陸が発見されてから、南米にも多くのスペイン人がやってきた。彼らは、変化に富んだ地形の中で、短時間で生活環境やインフラを整える必要があった。竹は強度があるし、軽くて扱いやすい。もってこいの材料だったのである。

ところで写真の住宅群は、現地では不法占拠であり、違法な建築物とされている。しかし他の途上国と同じように、不法占拠であっても電気は通っているし、住民はテレビなどを持っている。またコミュニティとしての治安も維持されている。法律を厳密に運用していないからこそ、ある場所で生きてゆける人たちがいる。途上国ならではの大岡裁きか。

grv

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

コミュニティ・フォレストリー

街ぐるみで竹のプランテーションを行うアルメニア市。起伏に富んだ市内は100以上もの渓谷がある。樹木はすっかり伐り開かれ、再植林されることもなく放置されていた。ゴミ捨て場と化す場所もあれば、不法占拠された場所もあったそうだ。景観や衛生面の問題があるだけでなく、地滑りの危険性さえあった。

そこで1995年から市長直轄のプロジェクトが始まった。計画の対象地は都市部の280ヘクタールの渓谷で、竹をプランテーションしてゆく。管理するのは近隣住民で、約20人で構成されるグループをつくって、1ヘクタールを管理する。専門家の助言を受けながら、植林、清掃、剪定などを行ってゆく。そして成竹を伐採して販売する。もちろん販売代金は、グループ・メンバーの収入になる。ちなみにメンバーの大半は学生だそうだ。

地域の森を自分たちで管理し、自分たちの生活に生かしてゆくコミュニティ・フォレストリー。同じようなことは日本でも実行可能だと思っているし、実際に行っている場所もある。例えば横浜とか。

 CF

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

アフォーダブル・ハウジング

中所得者や低所得者でも無理なく入手できる良質な住宅があること。すなわちアフォーダブル・ハウジング(支払い可能な住宅)。コロンビアの人々のとって、その1つが竹の住宅である。何をもって良質と評価するかは難しいところであるが、ひとつの条件として「安心して住み続けられる」ということがあるだろう。

そのためには強度が基本となる。この写真は、コロンビア中部のアルメニア市(人口30万人)の竹の住宅であるが、建設されてから約30年は経っているというから、耐久性は十分にある。そして耐震性にも優れている。1999年1月にコロンビア大地震が発生し、アルメニア市では市内の半数近くの住宅が倒壊したが、竹の住宅の被害は軽微にとどまったそうだ。

ちなみに竹の住宅の設計図を見せてもらうと、ごくごくシンプルなものである。耐震性能などは計算されない。職人さんたちもシンプルな図面を見ながら、臨機応変に構造を組んでゆく。それでも強度が確保されている。伝統の技のなせるところか。

sp

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

折り紙からのバンブーハウス

コロンビアで竹を多用したデザインを行うシモン・ベレス。来日回数はさほど多くないけど、彼は日本のファンである。日本の伝統建築も好きだし、寿司をはじめとする日本食も大好きだという。そして彼の建築にも、日本の美意識を生かしているという。写真の建物は、彼が設計した別荘であるが、この空間デザインは「折り紙から着想を得た」という。

折り重なる屋根のつくり方。斜めの線をうまく使って、パタンパタンと空間を開いていくかのような居室のデザイン。写真では分かりにくいが、言われてみると、確かに折り紙のような優雅な空間展開である。そして竹の柱や梁が壁の外側に露出する真壁構法。室内の壁も真っ白であるけれども、三角形の屋根裏は色鮮やかに塗られている。ここにも折り紙の気配を感じさせる。

しかし遠目で見る限りは、竹で構造をつくった住宅にはとても見えない。これには現地の人も驚きで、彼の設計する竹の住宅は評判も高い。国内はもとより、外国でもかなりの有名人らしい。ちなみに、このブログのプロフィールの似顔絵は、シモン・ベレスが描いてくれたものである。大分空港で飛行機を待っていた、ほんの短い時間の間に描いてくれた。当たり前のことだけど、やはり彼には才能がある。

sec-h

| | コメント (3) | トラックバック (0)
|

世界一の竹建築

コロンビア中部の会員制リゾートクラブ。敷地中央部には大きなクラブハウスが建てられている。コンクリートと竹を組み合わせたスパニッシュ・スタイルで、幅20メートル、長さ40メートル、高さは15メートル。竹を主要材料として建物としては世界最大といえるだろう。

このクラブハウスでは、現地のグアドゥアという種類の竹が屋根組みにつかわれている。9メートルを基本モジュールとして、約3000本の竹にによって巨大な屋根組みがつくられている。2階はオープンテラスになっていて、下から竹で造られた構造が見ることができる。

竹は成長が早く、3~4年で建材として使えるようになる。強度も非常に高い(ただし含有糖分が多いために、虫害に遭いやすいという短所もある)。すなわち非常に優れた再生可能資源である。しかしコロンビアでは、一般に「竹の建物は低所得者のものだ」と思われているそうだ。

設計者であるシモン・べレスは従来までのイメージを打破したかったという。優れた設計力があれば、グレードの高い建築物をつくることができる。そうすれば、竹をさらに有効に活用しようという機運も高まるはずだ。彼の思いは具体的な形になった。

 

bb-ch

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|