時間のマイルストーン
ソウル市内でもっとも規模の大きな宮殿が景福宮である。およそ600年間に創建され、往時は約13万坪の敷地のなかに約200軒の建物が建っていた。ところが約100年前に日韓併合がなされると、10軒ほど残して、ほとんどが破壊されたという。そして1991年から復元事業が開始され、2025年の完成をめざし、現在も工事が行われている。すでに主要な建物は再現されて、いまやソウル市内の人気の観光スポットとなっている。
景福宮は南に向かって建っていて、背後となる北側には白岳山がそびえている。背後には建物はあまり建ってないから、往時の借景がいまでも残されている。荘厳で迫力ある建物と借景は、じんわりとイマジネーションを刺激してくれる。かすかであるけれども、悠久の時の流れが感じられてくる。日本人はとても野蛮な行為を犯したものだと思ってしまう。このような歴史的価値がある場所を壊すとは……。
景福宮から約1.5km南にある崇礼門(南大門)。景福宮と同時期に創建された城門である。少し前まではロータリー道路の真ん中にあって、人が近づくことができなかったが、2005年に門の南側に芝生広場が整備され、目前までに行けるようになり、2006年からは門の中をくぐれるようになった。そして、いまでは把守と呼ばれる人たちが門を守っていて、タイミングが良ければ、把守の交代儀式にお目にかかることができる。写真は、護衛に出向く把守、横断歩道の前で信号待ち。
軸、あるいは何らかのマイルストーンがあり、自分の立ち位置を確認できること。いい街のひとつの条件だと思う。空間的な軸やマイルストーンだけでなく、時間的な軸やマイルストーンを確保する。景福宮にしても、崇礼門にしても過去と現在、そして未来を結ぶマイルストーンになっている。
ちなみに景福宮と崇礼門の間にはソウル市庁広場がある。かつては巨大なロータリーだったが、2004年に芝生広場として整備された。こちらの方には、現代アートのモニュメントが多数、置かれている。
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