青空もベストソース

日曜日の朝、シアトルの街のあちこちではフリーマーケットが開かれている。一部街路を車両通行止めにして、そこに多種多様な店が集まってくる。衣類やアクセサリー、工芸品、食器、アンティークから、そしてガラクタのような物(例えば、腕時計の文字盤)まで。もちろん地元の農産物(さすがに、この時期は野菜は少ない)や加工食品を扱う出店もあれば、飲食店もある。

Dsc02117 シアトル市北部のバラード地区に足を伸ばしてみた。この辺りはもともとスカンジナビア移民の街だそうで、フリーマーケットが開かれていた場所は、1800年代の小ぶりな建物が残る街区である。古い歴史を感じさせる街並みと、フリーマーケットの雑多で賑やかな雰囲気は、とても似合っていた。たくさんの人で賑わっていた。

ちょうど昼前だったので、何か食べようと思った。なにせアメリカのレストランに入ると、平均的な日本人には並外れたボリュームの食事が出てくる。「もったいない」の精神で、残さずに食べているのだが、何日も続くとさすがに食傷気味。ちょうど移動式石焼釜のピザ屋さんから香ばしい匂いが漂ってきたので、そこで食べることにした。やや長い列ができていたけれども、すぐ横でカントリーミュージックを演奏するグループがいる。たやすく待つことができる。

Dsc02118 大きな期待を寄せていなかったが、意外に美味しかった。周辺やベーコンはクリスピーで、しっかりした生地でスパイシー。しゃきしゃきした野菜の歯ごたえも小気味良い。何よりボリュームが適量だったので、飽きが来ない。B級グルメとしては(ゴメンナサイ)、十分すぎるくらいである。

2月のシアトルは、雨や曇りばかりが続くそうだ。しかし今日は朝から気持ちのいい快晴で、大きな青空が広がった。青空は、野外で食べる食事のベストソースのひとつである。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

アーバンビレッジと街の結束力

アメリカには持続可能な都市のランキングがあって、第1位がポートランド、第2位がサンフランシスコ、そして第3位がシアトルである。ちょうど、いまシアトルに滞在しているが、たしかに住みやすそうな雰囲気はある。緑は多いし、安全そうである。物価は少々高いけれども。 

シアトルでは20年先を見据えた総合計画をつくっているが、なかでも特徴的なのが「アーバンビレッジ」という取り組みである。これは都市を外延部に拡大してゆくのではなく、すでに開発された都市域内をビレッジという単位で、再編成してゆこうというものである。かつての郊外住宅地のような拡散的なベッドタウンをつくるのではなく、一定以上の密度で、居住や商業機能を集積させ、歩いて暮らせる街をつくろうという試みである。40弱の地域がアーバンビレッジと指定されている。

同じようなことは、日本でも試行されていて、例えばシアトルと姉妹都市の神戸市でも、既成市街地を「マチ」という単位で再編成する「コンパクトタウン」という取り組みがある。こちらも、人間が歩きやすいヒューマンスケールの街区を形成し、そこでコミュニティを再生しようというものである。

さて、街やコミュニティをつくるといったときに、何らかのイベントがあった方が、住民の結束力がひときわ強くなるのだと思う。神戸市の場合は、不幸にして阪神淡路大震災が起こり、そのことが街のことを問い直し、街の結束力を高めることになったと、何度か聞いたことがある。新しくできた神戸の街を歩くと、過去の体験はじゅうぶんに生かされているように感じる。

同じような視点に立つと、シアトル市の南部でのアーバンビレッジに大きな可能性があるような気がする。シアトルにはマイクロソフトやボーイング、スターバックスなどのグローバル企業はあるけれども、やはり収入の格差はあって、低所得者層に属する人たちはシアトル市南部に暮らしている。どちらかといえば人気のない場所である。

Dsc02051 ところが南部の先には、タコマ(シアトル)国際空港があって、来年には国際空港とシアトル市中心部を結ぶLRT(ライトレールトランジット)が開業する。そして開業を見据えて、アフォーダブルな(比較的低価格で質の高い)住宅や商業施設などがつくられている。おそらく周辺の不動産価格は上がるだろうし、南部に住む人たちも、すなわちアーバンビレッジに指定された地区の住民たちも、街づくりに積極的に関与するのではないだろうか。写真は、工事中のLRT軌道と新しく建てられた集合住宅。

何かをつくりだすという行為の周辺では、人をとても積極的になるのだと思う。当たり前だな。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

バスの街 シアトル

シアトルには、いろいろな公共交通機関が走っている。バスやライトレール(洗練されたタイプの路面電車)、モノレール、そしてフェリー。このなかでも、とくにバスは便利であり、バラエティも豊富である。もちろん普通のディーゼル・バスは走っているのだが、電気バス、ハイブリッドバス、2両の車体からなる連接バスなど、いろいろな車体のバスがあるし、持参した自転車を運んでくれるバスもある。

Dsc05150 路線も多様で、他市を結ぶ長い路線もたくさんあり、市内特急バスもあれば、地下を走るトンネルバスなどもある。そして料金体系もシンプルでわかりやすく、バスを乗り換えても加算料金はかからないし、おまけにダウンタウンのなかでは無料である。ツーリストの僕は地元の地理に不案内であるけれども、シアトル市内の地理をある程度、理解できていれば、とても便利なはずである。

公共交通機関。文字通り、解釈するならば、公的であり、また多くの人が共に使う交通機関である。だとしたら政府や自治体が責任を持って、公共交通サービスを提供すべきなのだろう。シアトル周辺では、郡(カウンティ)や市などの政府が責任をもって、公共交通機関の運営に当っている。だから税金を投入することで、充実したバスサービスが提供されている。この点は、多くの公共交通機関が独立採算制で運営されている日本と、大きく違うところである。

一般に、アメリカはクルマ社会と言われている。そのために、いっぽうで公共交通網の充実が必要にもなる。すべての人がクルマを運転できるわけではない。バランスが確保されている。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

自治のあるコミュニティガーデン、Pパッチ

シアトルにはPパッチと呼ばれるコミュニティガーデンが、市内に50ヵ所以上ある。約300㎡から1ヘクタールまで、面積もさまざまで、いずれもユニークなコミュニティガーデンである。日本の市民農園の場合はレクリエーション的な性格が強いが、Pパッチでは、レクリエーションに加え、健全なコミュニティを形成する場と位置づけられている。だから利用料金は低価格であるけれども、オーガニックな農法を行うこと、オリエンテーションなどの各種プログラムへの参加などが義務付けられている。

Dsc05234 Inter Bay というPパッチを訪れた。入口付近でウロウロしていると、大柄な初老男性が近づいてきた。「どこから来た? 見学したいなら、案内してやるぞ」。見学者は少なくないようだ。ちゃんとゲストブックまで用意してあって、ゲストは名前とコメントを記録するようになっていた。

道路に面した入口付近の区画は、フードバンク・プログラムのための菜園で、そこでの収穫物は生活困窮者へ提供されるそうだ。Pパッチは、利用者の食卓を豊かにするとともに、地域社会にも一定の貢献をしている。

Dsc05231 中央の通路は、大きめの石タイルやブロックでつくられている。いずれもダウンタウンの再開発のときに出た廃材を使っているそうだ。敷地中央の広場には倉庫やキッチンがあり、テーブルやイスもある。多くは不用品をリサイクルしてつかっているそうだ。不用品でつくったオブジェも少なくない。そして有機性廃棄物もリサイクルされている。ガーデン前の堆肥置き場は、造園業者が剪定枝を持ち込めるようになっているし、利用者の台所から出た生ごみもミミズボックスで分解されてゆく。

日本の市民農園の場合、利用期間が限定されていることが多く、また農園内に何か構築物を建てたりすることはできない。しかしPパッチでは、本人が望めばずっと継続利用ができるし、敷地内のデザインも住民に任されている。そのために利用者による自治があり、道具なども共有化されている。まさに文字通りコミュニティガーデンである。

なお Inter bay の敷地は、もともとは廃棄物の保管場所で、非常に痩せた土地だったそうだ。しかし利用者の努力が報いられ、いまではオーガニックな作物が豊富に収穫できる場所になった。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

シアトル公立図書館 とてもコージー

シアトルのダウンタウンにあるシアトル公立図書館。全面ガラス張りで、変形したキュービクルを積み重ねたような個性的な建物である。奇抜なデザインでありながらも、エネルギー効率などは、しっかりと配慮されており、全米でグリーンビルディングを認証するLEED規格でシルバー(ゴールドの次で、2番目)の評価を得ているそうだ。リサイクルされた建材が多用されていて、省エネ化も図られている。本の管理もIDタグで行うなど、最先端の技術が使われている。

Dsc05166 そして個性的な外観と対照的に、図書館のなかは非常に居心地がいい。英語でいえば、まさに「コージー(cozy)」である。地下1階地上10階のフロアはいずれも開放的で、じゅうぶんなスペースが確保されている。閲覧用の椅子やテーブル、そしてパソコンも数多く設置されている。場所によっては、斜めになったガラス屋根から陽光が降り注いでくるし、遠くにエリオット湾の水面を眺めることもできる。図書館といえば、僕にとっては何となく緊張を強いされる場所であるけれども、シアトル公立図書館の空間はゆったりできる。

Dsc05170 シアトル公立図書館の快適さは、優れたハードによるところも大きいが、人々を受け入れる姿勢に起因する部分も大きいと思う。「誰でも歓迎します」といった姿勢が明らかなのである。例えば1階では、日本語、中国語、韓国語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語など、いろいろな言語の本が置かれている。そして外国語図書のスペースの床材には、いろいろな言語の文字が刻まれている。アメリカに住みながら、英語を読めない人も少なくない。彼らへの配慮だろう。というか当たり前のことなのだろう。

開架の棚に置かれている雑誌や新聞の種類も半端ではない。日本だと、大きい図書館でも、置かれている新聞の種類はせいぜい10種類ぐらいだが、シアトル公立図書館では、ゆうに50種類はあったと思う。雑誌にしても『パーマカルチャーアクティビスト』といった極めてマイナー(?)な雑誌まで置かれている。

またキャップをすれば、館内を自由に飲み物を持ち歩くことができる(さすがスターバックス発祥のシアトル)。とても自由で、居心地のいい図書館である。だから、いろいろな人たちが集まってきている。熱心にメモを取っている人もいれば、ただ居眠りしている人もいる。人種も年齢もさまざまである。居心地が良いほど、本の内容を吸収できるはずである。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (4) | トラックバック (0)
|

50年前以上から循環型の資源利用

ずいぶん前の話になるけれども、初めてアメリカを訪れた場所がサンフランシスコで、ゴールデンゲートブリッジを見て圧倒されたことを憶えている。全長3キロ近く、水面からの高さが200メートルを越える橋は、とてつもない大きさの存在感を持っている。この橋が完成したのは、1937年だと聞いて、驚かされた。そんな国力のある国と、日本が戦争したって勝ち目はない。当時、改めて、そう思ったものである。そして似たような感想を、ふたたび持った。

シアトル市の近くにあるタコマ市は、人口20万人の港湾都市である。タコマ市では、市内からの下水をすべて回収し、下水汚泥を原料として土壌改良剤をつくっているのだが、そのシステムの構築に着手したのは1952年だそうだ。いまから50年前以上も前から資源循環に取り組んできているのである。もちろん、すべてのアメリカの都市が同じようなことをしているわけではないが、タコマ市は凄い、アメリカって凄いと素直に感心してしまう。

Dsc05095 市内の下水リサイクルを担っているのがTAGROという組織で、主な拠点は2ケ所に分かれている。1ケ所で下水を汚泥にし、それをもう1ケ所の施設にまで移送し、発酵させたうえで製材クズや砂などと混ぜて、最終製品にする。最終施品は無料で、市民(主にガーデンニング用)や市内の農家が取りにいけば、いくらでも分けてもらうことができる。この時期、ちょうど真冬で、土壌改良剤の需要はそれほどないのだが、僕が見学に訪れたときも、ちょうど初老男性が取りにきていた。

「例えば、トイレットペーパーは塩素を使って生産されているし、また人間が薬を飲むと、屎尿にも影響が出るので、下水汚泥を土壌改良剤に使うのには支障はありませんか」と質問してみた。すると「有害物質はちゃんと捕捉できるようにしている。つねに厳しくモニタリングをしているけれども、これまで大きな支障が出たことない。土壌改良剤の品質としては国内トップクラスの評価を得ている」そうだ。そして「市民に対しては、下水に不適切なものが混入しないように、テレビや数多くの媒体を使って、常に呼びかけている」という。

こんな取り組みが50年前以上も前から行われていたとは、ぜんぜん知らなかった。つい新しいものばかりに目が向いてしまう。反省反省(なお、年をとったのか、いまだ時差ぼけの影響が抜けず、メインカメラをレストランに置き忘れてきた。そのために全体像の写真がない)。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

シェアリングするエコビレッジ

シアトル市の中心部から、クルマとフェリーを使って約2時間の場所にあるポートタウンゼント。ビクトリア様式の建築物が建ち並ぶ港町で、映画『愛と青春の旅立ち(原題;An Officer and a Gentleman)』の舞台となった街である。Dsc05113

2004年にスタートしたエコビレッジ、ポートタウンゼントエコビレッジはダウンタウンからクルマで約5分、普通の住宅地に隣接した場所にある。総面積は約3ヘクタールで、現在の住民数は大人が5人、子供が2人。将来は大人の数を44人まで増やす計画だそうだ。環境への影響を最小限にしようとすると、44人に落ち着くという。

大人1人当たりに面積に割り当てる土地の面積を400㎡、夫婦の場合は800㎡と設定する。ただし敷地境界を設けたりしない。そして住宅はできるだけ小さくつくり、キッチンやバスルーム、ランドリーはつくらない。共有することで効率化できるものはコモンハウスに結集させ、環境へのインパクトを極力小さくする。もちろん施設を共有化することは、体験やコミュニケーションを共有化することにもなる。下の写真はコモンハウスで、前に停まっているのがカーシェアリングを行っている電気自動車。

Dsc05145 44人の大人が入居すると、約6割の土地が使われることになる。ただし住宅の周辺はパーマカルチャーの考え方に即してデザインされ、また残り4割土地では農業が行われたり、あるいは部分的に自然を手付けずの状態で残しておく。周辺にはコヨーテやシカなども生息し、エコビレッジの敷地内にも出没するし、ときには畑を荒らしてゆく。だから多くの農地にはネットが掛けられているけれども、すべてに掛けられているわけではない。多少は動物達による食べられたとしても良しとする。分かち合うという精神のもとに、動物達にも寛容な態度で臨む。自分達の必要なものだけを確保すれば、それで十分。

Dsc05099 ポートタウンゼントエコビレッジへ来て初めて目にしたもの。動物の脂肪に、植物の種や木の実を入れて、木の枝に吊るす。冬場にエサが少なくなる鳥たちのために用意したものだそうだ。「だって家の近くに鳥がやってきたら、楽しいだろ」。たしかに、その通り。余っているものがあれば、分けあえばいい。

人気blogランキングへ  ←参考になった場合にクリックをお願いします。リンク先には、エコ関連の面白いブログが多数あります。またコメントも、どうぞお気軽に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

海上のシンプルライフ

いままで読んだ環境関連の本のなかで、もっとも印象に残った本の1つがポール・ホーケンThe Ecology of Commerce 。彼はもともと経営者で、環境に配慮した企業として表彰された。しかし、それは表面的なものに過ぎなかったと明言する。もちろん事後的に環境に配慮することも重要だろう。しかし何よりも、まず事業のサイクルを自然循環に同調させることを考えるべきだという。

The Ecology of Commerce. すなわち事業のなかにエコロジーをとりいれる。とても内容のある本だが、日本ではさほど売れていないように思う。邦題が『サスティナビリティ革命、ビジネスが環境を救う』。明らかに原題のニュアンスが失われている。残念だ。

ところでポール・ホーケンはサンフランシスコ、サウサリートのボートハウスに住んでいる。海上に浮かべられたボートが彼の家である。近所住民には変わった住民、オピニオン・リーダーも少なくない。例えば、アポロの宇宙飛行士だったラッセル・シュワイカート(映画『地球交響曲第一番』に出演)、エコ建築のデザイナーであるシム・ヴァンダーリン(日本大好き)などなど。

さて海上のボートハウスだが、いくつかの点でエコだといえるだろう。まず居住空間が狭いために、持ち込めるものが限られる。海に浮かべるだけなので、土地を造成する必要がない。密集しているので電気や下水道のインフラの整備効率が上がる。歩けるヒューマンスケールな空間構成。自然と寄り添った暮らし・・・・。

微かな波に揺られて思いを巡らす。リラックスできそうだし、頭の中も整理されそうだ。しかし海上のシンプルライフは、日本人の体質には向かないらしい。船酔まではしなくても、体調を崩す人が少なくないという。やはり日本人は田んぼの中が相応しいのかもしれない。

boat

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

木を植える男

木を植えた男』という有名な童話がある。フランスのプロバンス地方に住む羊飼いが、30年にわたって、来る日も来る日も荒野にドングリを植え続け、みごとな森林を再生したという話である。短編のアニメにもなった優れた作品である。

事実は小説より奇なり。砂漠と荒野のニューメキシコ州サンタフェで、木を植え続けるネイティブ・インディアンに会った。かつてはニューメキシコにも豊かな森があったという。しかし西部開拓、その後の放牧によって森は大きく減った。ただ一人だけれども、森を回復させてゆきたいという。環境保全に関わる仕事に就きながら、その合間をみて、インディアン居留区内に幼樹を1本1本植え続けている。

白人に土地を奪われたネイティブ・インディアンが住んでいる居留区には、税制などの優遇措置がある。その1つがカジノの営業であり、サンタフェの居留区にもかなり大きなカジノが開かれていた。インディアンたちの雇用を支えている。「俺には関係ない」と彼は言うが、やはり違和感がある。

何に価値を置くかは人それぞれだ。一攫千金を夢見て、おカネを使うのも好きにすればいい。使い切れないほどの、おカネがあるならカジノで使ってくれ。決して美しくはない、混沌とした世界。そこで流されないで、クールに生きてゆく。目の前には、やはり現実がある。

ちなみにニューメキシコの砂漠に沈む夕陽は、感動的なくらい、とても大きく見えた。小さなことを、あれこれ言っても仕方がない。

santafe

| | コメント (2) | トラックバック (1)
|

雑談力とコハウジング

コハウジング(co-housing)とは、居住空間の一部を共有することによって、ゆたかで快適な住環境をつくりだす居住形態である。すべてを共有するのでなく、私的空間を確保することでプラバシーとコミュニティを両立する。庭やキッチン、リビングルームなどの共有、タイプは多様だが、共に生活をするわけだから規模はヒューマンスケールが望ましい。

 

デイビスの「N Street Cohousing」、14区画によるコハウジング。もともとは1950年代に建てられたトラクトハウス、宅地開発に伴って分譲された住宅である。1979年からブロック内の一部垣根が取り払われてゆき、敷地は徐々に地続きとなってきた。一戸ごとの狭い庭は、皆で共有する広い庭へと生まれ変わってきた。庭には数羽のニワトリが走っている。オーガニックな菜園もある。子供たちが遊ぶための手作り遊具も設置されている。

 

そして週に数回は一緒に調理をし、みなで食卓を囲む。日本では同じ釜の飯を食った仲間と言うけれども、英語では eat at some mess となる。ごたごた(mess)したカジュアルな場所であるからこそ、形式に囚われず肩の力を抜いてリラックスし、雑談をしながら食事ができる。それが仲間としての人間関係をつくってゆく。

 

ところで雑談は非常に大切だと思う。とくに目的を決めるではなく、気の向くままに話を進めてゆく。相手が他意なく言った言葉であっても、「あっ、そうか。そういうことか」と新たな気づきになることもある。相手がいるからこそ、自分でも知らなかった自分の一面が出てくることもある。いつのまにか仲間内でアイデアが生まれてくる。多数決のような会議にはない面白さだと思う。

 

一般には、ビジョンや夢を共有することが大切だと言われている。しかし五年先、十年先のことなどわからないし、完全に同意しあえることはありえない。むしろ雑談しながら、じゅうぶんに語り合って、そのときどきで了解し、行動を積み重ねてゆくことの方が合理的だと思う。やがて物語ができてゆく。さらに紡がれてゆく。

 

住む人が思いを語り合い、つくられた空間、N street 。ちなみに多様な樹木があるのが雑木林。多様な話題があるのが雑談。N street の中庭もmessy(雑)、多様な植物が育っている。

 

NS

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|