適正技術

手近な資源を利用して、自分たちのニーズを安価で満たし、そして住民自身で管理できる技術群。それが適正技術という考え方である。20世紀半ばに、途上国支援の反省のなかから生まれものである。大規模な産業技術だと、大量の資源やエネルギーを必要とするし、資本集約型であるために雇用も生み出さない。

例えば雨水タンク。クリスタル・ウォーターズのビジター・センターにも設置されている。ゲストたちの洗濯や食器洗いなどに利用されることになる。ごくごくシンプルな装置。

ところで Appropriate (適正)という言葉。もともとの意味は「自分のものにする」「自分自身を見失わない」。一般に、適正技術とは「環境に対して適正」という意味合いが強いが、本来は、自分にとって適正であるべき。環境にとっても、自分にとって良好な状態をつくりだす適正技術。だから適正技術という言葉は、福祉の分野でも使われることもある。障害があっても、加齢したとしても、自分らしさを見失わない。

よくよく考えると、自分は何をしたいのだろう。きっと、たくさんのモノやエネルギーを使うことではないはずだ。いろんな適正技術があると思う。

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誰もがデザイナー

植物や動物、そして人間のそれぞれの性質が存分に発揮できる状況に配置する。それがパーマカルチャーでいうデザインである。特別な意匠を創造することばかりがデザインでない。だから誰ででもできる。

周囲を見渡すと、じゅうぶんに利用されていない資源や場所が多い。小さな庭であってもハーブやベリー類はちゃんと育つ。ベランダでも野菜を育てることができる。できることは、いくらでもある。

そして何より活用の余地が大きいのは、一人ひとりの想像力かもしれない。クリスタル・ウォーターズの設計者、M・リンデガーにこう言われた。「困難な状況があるのは日本だけでない。知恵を絞れば方法はいくらでもあるはずだ」。

ちなみにクリスタル・ウォーターズのある場所は、農地であるため、住宅は40haに1軒しか建てられない。そこで集合住宅としての計画をつくり、260haに83戸のコミュニティを実現させた。行政側との折衝を根気強く重ねたそうだ。頭を使うことは、楽しいことのはず。

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自給しながら他へ生かす

エコビレッジでは、可能な限りの自給をめざす。エネルギー、食料、人的サービスもコミュニティ内での自給を重視し、そこでの生活を楽しむ。ところが大量生産型の現代社会からすると、変わり者の集団で、閉じたコミュニティに映ってしまう。

しかし彼らは、むしろ開放的だし、多様な個性を認め合う。僕がクリスタル・ウォーターズに訪問したときも歓待してくれた。ベジタリアンの彼らは、トウフの味噌フレーバー・チャーハンをご馳走してくれた。美味しかった。

自分がほしいもの、つまり自給を第1に考える。そして余ったものがあれば、他の人に提供する。これは市場での経済活動を第1とするビジネスとは、まったく逆の発想である。市場ではなく、身近な人を意識する。だからエコビレッジというコミュニティは決して閉じていない。

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セルフビルド

オーストラリア東海岸、ブリスベンからクルマで2時間ほどの場所にあるクリスタル・ウォーターズ。全敷地面積が260ha、住戸数が83戸、14%の宅地以外は共有地。1988年から住民の入居が始まった。

エコロジカルな生活を実現するための規定が設けられている。その1つが地場材を多用した家をつくることである。なかには自宅敷地内の土でレンガからつくる人もいた。究極のセルフビルドであり、まさに地産地消である。そして時間をかけるスローな建設だ。

雨がそう多くないこともあって、デザインの自由度は高いようだ。いろんな形の家がある。けれども不調和さは感じられない。敷地が広いから。そして、どの家も地元の材料を使っているから風景に馴染むのだろう。

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パーマカルチャー

エコビレッジに関心を持つきっかけになったのがパーマカルチャー。パーマカルチャーとは、パーマネント(永久的な)とアグリカルチャー(農業)を合成した言葉、同時にパーマネントとカルチャー(文化)を合成した言葉。永続可能な暮らしをつくることを目的とした、総合的なデザイン体系。

身の回りにある多様な要素、たとえば地形や気候、動植物、人間などを十分に観察したうえで、それらを合理的な関係に配置することで、それぞれの性質がじゅうぶんに発揮できる環境をつくることである。それがパーマカルチャーのデザイン。創始者はオーストラリアのビル・モリソン。

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日本語版の「パーマカルチャー」が出版されたのは1993年。そこでカラー写真で掲載されていたのが、ビル・モリソンのパーマカルチャー研究所とエコビレッジ「クリスタル・ウォーターズ」。いつかは行ってみたいと思った。

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はじめてのエコビレッジ

持続可能で、多様な個性を認め合い、心ゆたかなコミュニティ。それはエコビレッジ。自然を生かし、より少なく消費し、自分たちでつくる豊かな暮らし。世界ではエコビレッジをつくろうという動きがあるし、日本でも関心が高まってきた。

  http://gen.ecovillage.org/

僕がはじめて訪れたエコビレッジは、オーストラリアのブリスベン郊外にあるクリスタルウォーターズだ。本当に気持ちのいい場所だった。いつかエコビレッジに住みたい。エコビレッジをつくってみたい。海外でなく、日本国内で。image2

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