おだやかな地熱利用
地熱住宅という住宅を見学してきた。一般に地熱利用というと、地下深くのマグマの熱による地熱発電とか、あるいは地下深くにポンプを掘り込んだヒートポンプを連想する。しかし、もっと身近で地熱を利用することができるそうだ。
地中の熱は比較的安定しているそうだ。例えば、東京地方の場合、地下5メートルの深さでは、もっと温度が低くなるのは5月頃で、約13℃。そこから地上の気温上昇とともに地下5メートル地点の温度も上がり、11月にピークを迎え、約18℃となる。地上と地下では、温度上昇の時間的なズレが生じる。
いずれにしても地下5メートルの温度は、地上の気温に比べて、夏が涼しくて、冬は暖かい。だから地下5メートルの温度は有効に活用できれば、外部からのエネルギーに頼らず、快適な居住環境をつくることができる。それがシンプルな方法でできれば、言うことなしである。
その昔、竪穴式住居という住まい方があった。穴を掘って、周りに屋根をかけるというシンプルな構造である。それは地下の熱を生かした住まい方であった。冬場には、中で火が焚かれることになるが、それは火による採暖であり、また地面を冷やさないためであったそうだ。自然の知恵だと言えるだろう。
複雑な機構を使わずに、例えば外断熱を住宅の壁面だけでなく、切れ目なく基礎や地下にも施し、床下に地下からの熱を導いてゆく。床下の空間には外気からの空気は入れず、そして床下の熱を居室内に適切に循環させる。夕方に訪れた地熱住宅。その日は曇りで、外気温は26℃。いっぽう地熱住宅のなかの気温は23℃。涼し過ぎるくらいである。
太陽の光は、雨天のときや夜間は使えない。しかし足元の地熱は、身近でいつでも使うことができる。灯台もと暗し、である。
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