2008年1月13日 (日)

パーマカルチャーという科学技術

少し前に、知人からメールをもらった。その知人は主に途上国で現地の人と一緒に仕事をしている。近況報告であったのだけれども、パーマカルチャーについての言及もあった。「現地の人たちにパーマカルチャーについて説明しても、それほど好意的な感触は得られない。彼らは『昔からの伝統技術を実践してゆけば、おのずと持続可能な暮らしができる』という。だから、わざわざパーマカルチャーという概念を持ち出す必要があるのだろうか? 疑問を感じることもある……」。そのようなことが書かれていた。僕も、そう感じたことがある。

パーマカルチャーとは、自然資源や人間の社会的活動など、あらゆる要素を互いに助け合う関係に配置することで、生態系が持っている生産力を最大限かつ持続的に引き出すためのデザイン体系である。1970年代にオーストラリアで生まれ、いまや世界中に広がっている。日本でも1993年に「パーマカルチャー」という本が出されていて、「農的暮らしの永久デザイン」という副題がつけられている。メールをくれた知人と知り合うことになったのも、元を辿れば、この本に行き着いてゆく。

大量生産・大量消費の社会のあり方やライフスタイルから脱却し、オルタナティブな生き方を創造する。パーマカルチャーは、そのための有力な概念のひとつだと考えられている。そしてオルタナティブな生き方を創造するときに重要なることのひとつが、先人の知恵を生かすことである。自然や生命の営みは、人智を超える奥行きを持っている。だから長い歴史を通じて、伝統技法へと収斂されてきたノウハウは有効に生かすべきである。

55パーマカルチャーは伝統を受け継ぐと同時に、ものごとの挙動を科学的にとらえ、伝統をさらに発展させようしているのだと思う。客観的な視点から、伝承された暗黙知をとらえ、それを理にかなった方法で説明し組み立ててゆく。ダイナミックなシステム思考なのだと思う。そのことに、はっきりと気がついたのは、Permaculture:A Designer’s Manual という本を読んでからである。

この本を読むと、パーマカルチャーの考えのなかには、農業や生物のことだけではなく、自己組織化や創発、カオスやフラクタクルなど、物理やシステム生成などに関わる科学的知見がたくさん含まれていることがわかる。そして物理やシステムとしてみた場合、伝統技法はとても合理的であることも示されている。だから、あえてパーマカルチャーといわなくても、伝統技法で十分というのは確かにその通りである。

しかし現場で伝統技法に取り組みながらも、いったんマクロな科学的視点から伝統技法を評価してみることも有用なことだと思う。科学や技術は日進月歩で進んでいる。最新の知見や技術を活用すれば、伝統技法を大きく改善させることが可能であるし、新たな用途を開発することもできる。先人から伝承しながらも、新たな何かと統合する。本来、伝統は変化するものであり、科学に即して変化させてゆこうというのが、パーマカルチャーの発想なのだと思う。

パーマカルチャーは一人ひとりの生き方は深く関係しているために、それを理念や運動のように受け取っている人は少なくない。しかし、きわめて科学的なアプローチだと思っている。

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2006年8月30日 (水)

パーマカルチャーと数寄屋の精神

昨夜、飲みに行った表参道のレストラン「野菜畑」。オーナーが千葉県で農業で営んでいて、収穫されたばかりの野菜を使っているそうだ。店名の通り、じつに野菜が美味しかった。温野菜は、しっかりとした歯ごたえがあって、甘くて濃厚な味がした。魚料理に使われていた野菜も、もともとの瑞々しさが微妙に残っている。まさに素材を生かした料理である(もちろん魚も美味しかった)。

料理が美味しかったので友人たちとの話も盛り上がり、どういうわけか数寄屋建築に話題になった。そのときに話したこと。高名な数寄屋建築家に教えてもらったこと。

数寄屋は贅をつくした建築だと考えている人が多いが、そうではない。「数を寄せる」という文字に示されるように、手近にある、いろいろな材料を組み合わせることで簡素な空間をつくり、そのなかで何かを創造することである。特別な材料を使ったり、奇をてらったことをすることではない・・・・。

この考え方は、自然循環型の生活環境をつくるパーマカルチャーの発想に通じるところがある・・・。酒を飲みながら、シンプルでありながら美味しい料理を食べながら、ふと思いついた。シンプルでありながら、素材の良さを引き出して、質の高いものをつくる。それは最高のクリエィテビィティかもしれない。

いずれにしてもレストラン「野菜畑」はお勧め。いわゆるロハス系激戦区の表参道にあって、すごく値段がリーズナブル。

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2006年5月 1日 (月)

ネコの額の資源循環

我が家のネコの額ほどの庭。もっとも日当たりの良くない片隅で、2つの方法で生ゴミみをリサイクルしている。1つはキャノワーム、生ゴミをミミズ食べて消化分解してくれる。もう1つがコンポスト容器、こちらは微生物による分解。気温が上がってきたから、どちらの方もこれから分解速度が速くなる。

ミミズは甘いものが好物だそうだ。そして微生物と違って、実際に動いている様子が目に見えるから、愛着も湧いてくる。だからミミズには、美味しそうな(?)生ゴミを与えることになる。リンゴやニンジン、ジャガイモの皮。キャベツの葉っぱ。いっぽうコンポスト容器には、あまり美味しくなさそうな生ゴミを入れる。ミカンやタマネギの皮。硬い根っこや茎。

家庭から排出されるゴミのうち、重量換算で約4割が生ゴミだと言われている。行政の収集システムだけを当てにしていると、収集日が来るまで、どこかで生ゴミを貯めておかなければならない。しかし庭先でリサイクルできれば、貯めておく必要はない。新鮮な生ゴミをミミズや微生物たちに与えることができる。肥料も買わなくてすむ。

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2005年12月 1日 (木)

ビル・モリソンに冷や汗かいた

持続可能な農的暮らしをつくるためのデザイン体系「パーマカルチャー」。創始者であるビル・モリソンが日本にやってきたのが1996年(写真左から3番目)。彼が基調講演をしたシンポジウムで、パネル・ディスカッションのコーディネイターをつとめたことがある(左端)。パネリストの1人には、ゼロ・エミッションの提唱者であるグンダー・パウリ(左から2番目)もいた。当時、彼は国連大学顧問で、シンポジウムの会場も国連大学。

事前打ち合わせでは、ビルが「国連の奴らは途上国支援に行っても何もしない。絶対にクルマから降りない」というと、パウリは「絶対ということは、この世の中にはありえない」と切り返す。とても険悪な雰囲気。そしてシンポジウムの終了間際には、ビルは「俺はエミッションを出してくる(たぶん小便してくるという意味)」と言いながら1人だけ離籍してしまった。

コーディネイターとしては汗をかくばかり。パウリはビルとの初対面だったが、おそらく彼に対して好印象を持たなかったはずだ。そう思っていた。ところが、そうでなかった。昨年、ゼロ・エミッションは10周年を迎え、雑誌『ビオシティ』29号で特集記事が組まれた。記事のなかでパウリは、もっとも影響を受けた書籍を紹介していたのだが、その1冊に『パーマカルチャー』が含まれていた。汗をかいたけど、よかった。

ちなみに日本では、ゼロ・エミッションはやや変質して、製造業の廃棄物対策のように思われている。しかし、もともとは自然を最大限に生かすことに眼目を置いていた。だからパーマカルチャーの発想に共通する部分が多い。

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2005年11月21日 (月)

おいしい生活

京都府中央部の美山町、文字通り美しい農山村地域。いまも数多くの藁葺民家が残り、伝統的建造物の保全地区に指定された集落もある。そんな集落のすぐ近くに、植月さん夫婦が営む民宿「アースガーデン」がある。

自然素材を多用した建物、多様な有用植物や動物たちのいる庭、いずれもパーマカルチャーの原則に即してデザインされている。生活のなかでパーマカルチャーを実践するだけでなく、執筆や講演などの対外的な活動も行われている。

ただし、お勧めなのは何といってもアースガーデンの食事だと思う。自家菜園や地元農家で生産された新鮮な農作物。天然の魚、自然養鶏のタマゴ、近所のわけありの職人さんが焼いたパン。おまけに料理人(ご主人)の腕前がすごい。見た目も美しく、実においしい。

俗に「格好いいエコライフを広げよう」と言われることが多いようである。しかし「格好いいエコライフ」って、ありえるのだろうか? 土にまみれること、生ごみを堆肥にすること、リサイクルすること・・・。こんなコトを格好いいと感じる感性は、いまの社会にはないと思う。

そうではなくて、より高い次元の価値を実現する手段として「エコ」を位置づける。例えばアースガーデンの食事のように、とびきりの食事を楽しむためには「エコ」が必要になる。エコエコ言うばかりでは能がない。むしろ本当においしい生活を追求してゆくべきだと思う。

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2005年9月10日 (土)

ニワトリの多面性と健康

パーマカルチャーにおける重要な考え方の1つが、あるものの性質を最大限に発揮させるということである。ニワトリを例にして説明されることが多い。

ニワトリを鶏舎で飼うと、人間がエサを与え、掃除をしなくてはならない。外部からエネルギーを投入することが必要になる。しかしニワトリを外へ放すと、「雑草を食べる」「土をひっかく」「虫を食べる」「糞をだす」など、農作業の一部を担ってくれる。人間の労力は省けるし、生産性が向上する。

ニワトリの多様な性質をじっくりと見極めて、多面的に生かしてゆく。すべてにおいて当てはまる。エコビレッジの発想でもある。

短期間で成長させられるニワトリは、決して健康とはいえない。摂食には必ず排泄が伴うから、短期間で多くのエサを食べると、当然のことながら短期間で多くの排泄を行う。ある自然養鶏家は「いつも下痢をしている状態だ」という。まるで生活習慣病。

ときどき鶏舎から外へ出す平飼いでゆっくり育ててゆくと、排泄物の量も鶏舎内の微生物がじゅうぶんに分解できる量となる。衛生的な問題もない。健康で筋肉のしまったニワトリ、美味しい肉になる。多面性を生かすことは、人間の健康にもなる。

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2005年9月 8日 (木)

パーマカルチャー

エコビレッジに関心を持つきっかけになったのがパーマカルチャー。パーマカルチャーとは、パーマネント(永久的な)とアグリカルチャー(農業)を合成した言葉、同時にパーマネントとカルチャー(文化)を合成した言葉。永続可能な暮らしをつくることを目的とした、総合的なデザイン体系。

身の回りにある多様な要素、たとえば地形や気候、動植物、人間などを十分に観察したうえで、それらを合理的な関係に配置することで、それぞれの性質がじゅうぶんに発揮できる環境をつくることである。それがパーマカルチャーのデザイン。創始者はオーストラリアのビル・モリソン。

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日本語版の「パーマカルチャー」が出版されたのは1993年。そこでカラー写真で掲載されていたのが、ビル・モリソンのパーマカルチャー研究所とエコビレッジ「クリスタル・ウォーターズ」。いつかは行ってみたいと思った。

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