銀座にも水田
日本でいちばん地価が高いところが東京の銀座である。数多くの百貨店や高級ブティック、宝飾店がたち並ぶ街である。そんな銀座につい先日、ビルの谷間に水田が現れた。その名も「銀座水田」。できるだけ多くの人に農業を体験してもらい、農業の重要性や環境問題などへの関心を高めてもらうことが目的だそうだ。
このところ東京では、都会の真ん中で農作物を栽培する試みが目立ってきた。例えば渋谷では「渋谷たんぼCLUB」という団体が、公園通りにプランターを並べて、稲を育てている。公園通りは坂道なので、棚田になっているそうだ。秋葉原では、日本農業新聞社の屋上で「秋葉原菜園計画」がスタートする。アキバ系の若者、メイドカフェなどで働く店員など、秋葉原に集まる人々の力を結集して、都市ならではの農業の実現をめざすという。
都会では、田んぼに水を引くための川や水路はないし、大きなビルの日陰になることもあるだろうし、農業の生産性は期待できず、かえってエネルギーの無駄遣いになるかもしれない。ただし、それが農業への関心を高める契機となるなら、多少のエネルギーの無駄も許容されるべきだろう。
江戸時代、小石川後楽園や浜離宮庭園には、水田があって、屋敷から流れ出る生活排水を浄化していたそうだ。大きな庭園に水田をつくったのは、徳川家の人々に、水田が生存の基盤であること、そして食糧生産だけではなく、水質浄化などの多面的機能を持っていることなどを、しっかり認識させるためだったそうだ。
都会のなかに農的空間がつくられつつある。さらなる進化の方向は、循環系をつくってゆくことである。
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