世相を現す出世の石段
仕事始めから3日目。そろそろ初詣の混雑も収まった頃だろうと思い、ランチタイムに職場近くの愛宕神社に出向いてみる。しかし境内には、まだ長い人の列ができていた。御神酒も用意されていたけれど、長い列に並ぶ時間もないので諦めた。改めて別の機会に初詣をすることにしよう。
東京23区内でもっとも標高が高い愛宕山(26メートル)。山頂にある愛宕神社は、出世の石段で有名である。境内に向かう80数段の石段は、登るときにさえ怖さを感じるほどの急勾配。かつて石段を馬でいっきに駆け上がった武将が、大きく出世を果たした。以来、出世の石段と呼ばれ、多くの人が参拝するようになった。
昨年秋から景気は急激に悪化し、今年は、さらに厳しくなると予想されている。出世の石段を登り、初詣しようという気持ちはよくわかる。
ところで、厚生労働省では昨年末に「非正規労働者の雇い止め等の状況」を公表している。それによると、2008年10月から2009年3月までに、全国で派遣や契約などの打ち切りとなる人たちの数は8万5千人になるという。ただし、これは日本全国の隅々まで調べたものでないので、実際にはもっと多くなる可能性がある。そのうえ正規社員のリストラもあるから、8万5千人というのは仕事を失う人たちの氷山の一角だと見ることができるだろう。
厚生省のデータは都道府県別に集計されているが、雇い止めの数がもっとも多いのは愛知県で、約1万500人というダントツの数である。さすがに規模の大きな製造業が業績不振になると、雇用にも大きな影響を及ぼすことになる。逆に、もっとも雇い止めの数が少ないのが沖縄県の15人で、日本で唯一100人を下回っている。愛知県の700分の1。日本でも人(労働力)は市場経済を通じて取引される商品になりつつあるが、沖縄県では、それほど人の商品化が進んでいない、と言えるのだろう。
すでに言い古された感はあるが、やはり大きな変化が必要とされているのだろう。雇用形態も変化し、出世という概念も代わってゆくのかもしれない。
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