伝統を引き継いでゆく
現在の自宅から徒歩10分の距離にある知恩院。京都を代表する寺院のひとつで、東山山麓にある。急峻で広大な山麓の敷地。幅が広く、傾斜のきつい参道を登ってゆくと、大きな山門があり、壮大な伽藍がある。迫力と威容を感じさせる寺院である。中世に開かれ、江戸初期焼失され、そして再建された。
知恩院の敷地奥には「智慧の道」という約100段の階段がある。学生時代、シーズンオフになると、ときどき訪れ、トレーニングの一環として階段ダッシュを繰り返した。紅葉の時期を過ぎると、観光客の数は少なくなる。しかし多人数が走っていると、やはり参拝客の邪魔になるはずである。しかし注意されたことは一度もなかった。広大な敷地と同じく、知恩院の懐は深い。その昔、この「智慧の道」には手すりはなかったが、バリアフリーが要求される時代となり、数年前に、道のほぼ中央に手すりが設置されたようだ。やはり懐が深い。
知恩院では2005年から保存修理が行われていて、現在、「集會堂」という建物が工事中で、工事現場が2日間公開された。近所なので、行ってみた。
とくに屋根の痛みが激しいようで、屋根については全面的な改修が行われている。長きにわたり風雨にさらされ、近年は雨漏りがあるという。現場の係員に尋ねたところ、産地は問わないが、木材はすべて国産で、瓦も岐阜県の土で焼いているそうだ。国の重要な文化財であるから、やはり国産の材料でまかなうべきなのだろう。
伝統を引き継いでゆくという営為。そして長い歴史をじゅうぶんに感じることができた。建物を長持ちさせることは、エコである。
たくさんの人が公開の現場を訪れていた。用意されていたヘルメットの数が足りず、入口では少なからぬ人たちが順番待ちの列をつくっていた。どこから聞きつけたのか、外国人の見学者も少なくなかった。日本人とっても得がたい体験であるから、彼らにとって、なおさらだろう。
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