2009年11月 9日 (月)

伝統を引き継いでゆく

現在の自宅から徒歩10分の距離にある知恩院。京都を代表する寺院のひとつで、東山山麓にある。急峻で広大な山麓の敷地。幅が広く、傾斜のきつい参道を登ってゆくと、大きな山門があり、壮大な伽藍がある。迫力と威容を感じさせる寺院である。中世に開かれ、江戸初期焼失され、そして再建された。

Dsc03732 知恩院の敷地奥には「智慧の道」という約100段の階段がある。学生時代、シーズンオフになると、ときどき訪れ、トレーニングの一環として階段ダッシュを繰り返した。紅葉の時期を過ぎると、観光客の数は少なくなる。しかし多人数が走っていると、やはり参拝客の邪魔になるはずである。しかし注意されたことは一度もなかった。広大な敷地と同じく、知恩院の懐は深い。その昔、この「智慧の道」には手すりはなかったが、バリアフリーが要求される時代となり、数年前に、道のほぼ中央に手すりが設置されたようだ。やはり懐が深い。

知恩院では2005年から保存修理が行われていて、現在、「集會堂」という建物が工事中で、工事現場が2日間公開された。近所なので、行ってみた。

とくに屋根の痛みが激しいようで、屋根については全面的な改修が行われている。長きにわたり風雨にさらされ、近年は雨漏りがあるという。現場の係員に尋ねたところ、産地は問わないが、木材はすべて国産で、瓦も岐阜県の土で焼いているそうだ。国の重要な文化財であるから、やはり国産の材料でまかなうべきなのだろう。

Dsc03728 伝統を引き継いでゆくという営為。そして長い歴史をじゅうぶんに感じることができた。建物を長持ちさせることは、エコである。

たくさんの人が公開の現場を訪れていた。用意されていたヘルメットの数が足りず、入口では少なからぬ人たちが順番待ちの列をつくっていた。どこから聞きつけたのか、外国人の見学者も少なくなかった。日本人とっても得がたい体験であるから、彼らにとって、なおさらだろう。

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2009年11月 6日 (金)

さすがT自動車

Dsc03708 T自動車で朝いちミーティング。T自動車の本社は名古屋駅から電車で約1時間。そのため朝いちミーティングに参加しようとすれば、京都駅での一番列車に乗らないと間に合わない。朝陽がのぼる前の京都駅。東の空から、ほのかに明るくなってきている。美しい曙を見ることができた。T自動車のおかげ。

T自動車でのミーティングは無事に終了。時間の少し余裕があったので、本社前のT会館を見学してみる。トヨタの自動車、自動車の生産のし方、あるいは環境や安全への取り組みについて、展示施設である。

Dsc03717 行ってみて、ビックリ。T自動車の本社は、とても好立地にあるとは思われない。にもかかわらず多くの人でにぎわっている。日本人だけではく、外国からの訪問者もある。まるで観光地のようである。どこから人が集まってくるのだろう(4体のロボットによる合奏は凄いと思ったけれども、何となく悲しさもあったなあ……)。

僕個人はクルマを持っていないし、話の端々にクルマを排除するニュアンスが出ていたはずである。しかし今日、会った人たちは、そのことを受け止めてくれた。時代は変わりつつあるかも。

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2009年11月 5日 (木)

エディブル鴨川

京都の街なかを南北に流れる鴨川。川の両岸は遊歩道。しかし三条通りから南に下った西側では、岸の石垣ぎりぎりのところまで、建物が建てられている。それでも建物と川との間にはスペースがある。エアコンの室外機が置かれていることが多い。しかし野菜を育てている人も意外と多い。

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三条大橋のすぐ下では、お地蔵さんが祀られ、その脇ではトマトが育てられていた。霜月の11月。もうすぐ寿命になるのだろうが、まだ青い実をつけていた。鴨川を南に下ってゆく。三条から四条にかけては、鴨川沿いの建物は飲食店が多く、夏になると川床を設置する。日当たりが悪くなるからか、川沿いで植物を育てるというケースはほとんど見受けられない。

Dsc03700_2 四条からさらに南に下ってゆくと、川床を出すような飲食店は少なくなり、川沿いで植物を育てるという景色も増えてくる。松原通りから少し下がった所にあるイタリアンレストランでは、客席に面して、背の高いオリーブ、そしてハーブ。 

さらに南に下ってゆくと、川沿いの建物は住宅が多くなり、野菜を育てる家も増えてゆく。マンションの裏手では、レンガで菜園がつくられ九条ネギが植えられていた。京都の街なか菜園では、どうやら九条ネギは定番のようだ。目にすることが、とても多い。プラスチックプランターや発泡スチロール容器で、ブロッコリー畑をつくっている家もある。資源の有効活用といえるだろう。やはり発泡スチロール容器を使って、野菜を育てている家は多い。

Dsc03704_2 けっこうズボラな人も少なくないようだ。11月に入ったのに、枯れかけたナスやオクラなどの夏物野菜が、そのまま置かれていることが多い。せかせかせずに、遊びながら野菜が育てられている。

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2009年11月 4日 (水)

Do you Kyoto ?

ときどき街なかで「Do you Kyoto ?」というキャッチフレーズを見かけることがある。直訳すると、「キョウトとしていますか?」ということになる。京都は、長く日本の都であり、文化的蓄積も多い。だから「キョウトしていますか?」と問われれば、歴史や文化なものを連想することが多いのだろうか。例えば舞妓さんとか……。

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「Do you Kyoto ?」でのキョウトは、環境に配慮した行動を意味するという。1997年に京都で開催されたCOP3で、先進国の温室効果ガスの削減目標を定められた。そのCOP3にちなみ、新しい意味を持った言葉として「キョウト」を定着させ、環境に配慮した行動を広げようとする狙いがあるらしい。聞いたところによると、パリでは環境を学ぶために学校を開設し、Kyotoという名前をつけたそうだ。

例えば「もったいない」は、mottainaiという英語として使われるようになったので、Kyotoもそうなるかもしれない。そして「もったいない」をひと言で説明できないように、「キョウト」も簡単に説明できないのかもしれない。京都で暮らすようになって約5ヶ月になるけれど、そんなキョウトの説明に出会ったことはない。

左側の写真。何となく「自転車に乗りましょう」というメッセージがあるようだが、補足情報はほとんどない。周囲を見回してもヒントになるようなものは得られない。京都は奥ゆかしい。もっと、しっかりと伝えたらいいのに。だって、京都のことを誤解している人は少なくない。「トリマル」「クリタグチ」「チオンイン」「ギョイケ(ほんとにギョッとする)」……。

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2009年10月18日 (日)

京都の文化

飲食店のランク付けするミシュラン。先週、京都・大阪版が公表された。最高のランクとされるのが三ツ星で、大阪が1店舗であったのに対し、京都は6店舗。世界全体では三ツ星は約80店舗だそうだから、京都の6店舗は非常に多い数だと言えるだろう。ただし、残念ながら6店舗ともに行ったことがない。庶民の手の届くような価格帯ではない。そのうちの1店舗は自宅の目と鼻の先にある。いつかは行ってみようと思う。

21 京都で三ツ星の飲食店が多いのは、京都の文化的な厚みが大きな背景になっていると思う。古くからの文化遺産も残っているし、華道や茶道などの本家家元も多い。そして大学の街でもあり、昔からの文化に新たな知見や技を組み入れ続け、文化を磨きいてきた。一年を通じて、数多くの行事も行われている(写真は、10月18日に上賀茂神社で行われた笠懸神事。走る馬上から矢を射るもので、流鏑馬よりは技術的に難しい)。

文化的な厚みは多種多様な人を集め、また見識が高い人たちも集まってくる。いろいろな人たち、見識の高い人たちに揉まれて、飲食店のサービスもレベルも高くなる……ということではないだろうか。

ただし文化の基盤は磐石ではないようだ。華道や茶道をたしなむ人たちは大きく減少し、認知度も落ちているそうだ。某有名家元でさえ「××さんは茶道の方でしたか。それとも、お茶でしたか」と質問されることもあるという。

Dsc03662 少し前に、京都の街なかに「ならいごとの十色」という店がオープンした。和の文化を、楽しみながら学ぶ教室である。ずっと気になっていた。ようやく先日、職場の若い女性に付き添ってもらい、ある催しに参加してきた。だって、オッサンは参加しにくい。予想とおり参加者は女性が多かった。

ならいごとの十色のクラスが開かれるのは、与謝蕪村宅跡に建てられた立派な京町屋。もともと呉服店として建てられた町屋で、仕事場としては手狭になってからは、数年前まで住まいとして使われていたそうだ。大規模な修繕は行われておらず、京都ならではの文化を感じさせる空間である。

文化は守るものではなく、活用された結果として残るものだと思う。底辺を拡大するためには、いろいろなチャレンジが行われるべきだろう。

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2009年10月13日 (火)

小さく残る町屋

69古都・京都には古い住宅、つまり町屋が数多く残っている。建てられた時期が不明なものも多く、築年数が「不詳」と表示されて、売りに出されている物件も少なくない。建てられた時期を遡ることができないくらいに古い。しかし建物の構造はしっかりしていて、じゅうぶんに使うことができる。だから更地にして売却するのではなく、土地建物として売りに出されている。

とはいうものの、古い建物は現代のライフスタイルに合わない部分がかなりある。和室だけではなく、イスやベッドがつかえる洋間があった方が使いやすいし、いわゆるシステムキッチンがあった方が便利である。そうすると修繕することが必要になる。ところが修繕の規模が大きくなると、建築確認申請をすることが必要になる。

Dsc03609 古い町屋は、既存不適格である。建てられた当時には適法であったけれども、その後の法令改正によって、現在は不適格とされるもので、増築や建て替えを行う場合には、現在の法律にあったものとしなければならない。すると、かつての町屋の様式が失われてしまう。さて、どうしたものか……。

規模の小さな修繕だと、建築確認申請が必要ない。その範囲内で修繕を行えばいい。基礎や構造を残し、それを活用するのなら、新築ではなく修繕となる。となると、小さな町屋だからこそ残ることになる。大は小を兼ねるとは限らない。

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2009年10月11日 (日)

コミュニケーションとしての踊り

自宅から徒歩2~3分の神宮道。平安神宮に向かう参道である。京都学生祭典が開催されていた。今年で7回目だそうで、中心となるプログラムのひとつが全国おどりコンテストである。ジャンル、年齢、国籍を問わずに参加できるコンテストで、100チーム余りのエントリーがあったそうだ。

9 仕事を終えた夕方近く、散歩がてら立ち寄ってみる。神宮道の一部ではクルマがシャットアウトされ、平安神宮の大鳥居に先の参道は、5ヶ所のステージに区切られている。それぞれのステージで、同時並行して各チームのパフォーマンスが行われている。平安神宮や大鳥居を背景にして、あるいは暮れなずむ東山をバックにして、思い切りダンスを踊る。踊る人たちにとって気持ちいいだろうし、見る側にとっても、それなりの趣があると思う。伝統的な空間のなかで、いまもつエネルギーを発散させる。

観衆は正直である。じゅうぶんに鍛えられたチームのもとには、多くの人が集まっている。そうでないチームのもとには、多くの人は集まっていない。やはり鍛えられたチームには、何かを伝える力がある。

人間がまだ言葉を持たない頃、言葉にならない声でコミュニケーションを行っていたのだろう。もちろん身体を使ってのコミュニケーションもあったはずである。そして言葉よりも先に、踊りが生まれたのではないだろうか。踊りを通じて、喜びを表現し、喜びを共有する。踊りは、言葉より古くて、より本能的なコミュニケーションの方法ではないだろうか。

このところ全国各地で踊りのコンテストが行われている。本能的なコミュニケーションへの回帰かもしれない。

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