2009年7月 6日 (月)

町屋オフィス

京都の街なかの町屋を改造して、オフィスとして使っている会社を訪問した。この会社の主要事業は環て境関連分野でコンサルティングである。二階建ての町屋。一階の一画には事務部門があるけれども、大半のスタッフは二階で仕事をしているらしい。そして一階の大半が来客スペースというか、ミーティングルームに当てられている。そのため大きな座卓と座椅子の他にも、ほとんどモノが置かれていない。

Dsc03321 見事に手入れされている。土間から上がると、小さな和室があり、その脇には小さな坪庭がある。奥の間の先には縁側が設けられ、5坪ほどの裏庭がある。縁側には蚊取り線香を焚くための、豚の形の陶器が置かれている。この日はそれほど気温が上がらなかった。涼しい風が抜けてゆく。

この会社が京都の町屋にオフィスを構えたのは、尖がった提案をするためだそうだ。京都に自然と調和するための先人たちの、たくさんの知恵や思想があるはずである。それらを現代に新たな形にして再生してゆきたい。やはり構えは重要である。

「町屋に来ませんか」と関係者に声をかけると、みなが遠くからでもやって来るそうだ。そして普段とは違った空間で、車座になって言葉を交わすと、気分転換になるのか、思いもよらなかったアイデアが飛び出してくることも多いとい。集まった人たちの関係もさらに深まってゆく。

季節に合わせて、しつらいを整えて空間を演出する。快適な空間をつくることは、身体に好影響を及ぼすと同時に、脳を刺激することにもなるのだろう。じゅうぶんに刺激を受けた。

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2009年6月29日 (月)

タイムスリップ食堂

二十数年前、京都で四年間の学生生活を過ごした。その頃に不思議に思ったことがある。「この食堂は、どうして潰れずに、もっているのだろう」。古くて、小さくて、ただし値段は安くて、お客さんが入る気配のない、寂れた食堂がかなりあった。今月から京都に住むようになって、街のあちこちを歩いてみると、当時の食堂がいまだに、そのまま建物で残っている。しぶとい、根強い。

Dsc03300 現在の住まいの近所にも、そんな食堂がある。店頭にメニューが張り出してあって、出巻き定食370円、さかな定食480円。「いろいろおかず250円(?)」。京都の街なかにあって激安の価格である。興味があって、入ってみた。店に入ったとたんに身構えた。

店内には小さなテーブルが5つ。そのうちの4つにテーブルには、老人男性が座っている。4人ともがズボンに下着のシャツ。店内は、どこかで土産品として買ってきたような木工品が所狭しと置かれて、あるいは壁に掛けられて。ラジカセの横にはカセットテープが山積み。エアコンはなく、年代もものの扇風機が首をきしませながら回っている。古びて、そして淀んだ雰囲気に気おされて、店から出ようかと躊躇したときに、恰幅のいい老人から大声を帰られた。「いらっしゃい」。そして老人は店の奥に入ってゆく。

しかたなく空いていたテーブルに腰を下ろした。本当は4人がけのテーブルだが、テーブルの半分は工芸品に占拠されていて、2人でも狭いくらいである。しばらくして、恰幅のいい老人は、お茶を持ってきた。好奇心から、本当は、いちばん安い出巻き定食を頼んでみたかったのだが、遠慮して、さかな定食を注文する。

異空間。大正生まれの祖母は、もったいないと言って、モノを捨てなかった。まるで祖母の茶の間に来たようである。柱時計がボーンと鳴って時刻を告げた。そういえば祖母の茶の間にも柱時計があった。

エアコンがないので、店内は暑い。お客さんの一人が気を効かせ、扇風機の首を調整して、僕の方にも風を送らせようとしてくれている。「ありがとうございます」と礼を述べた。ところが逆に、扇風機の首を固定してしまい、風は僕の方にまったく来なくなった……。吉本ギャグ系のボケ行動パターン。

3人の客は顔見知りらしく、テーブルの間で会話を交わしている。だったら、ひとつのテーブルに座ったらいいのに。しばらく料理は出できそうにない。額の汗をハンカチでぬぐいながら本を読む。

十分ぐらいして、太り気味の腰の曲がった、お婆さんが前のめりの、たどたどしい足取りで、ご飯と味噌汁、漬物を持ってきた。「焼いたアジか、煮付けたサバがありますけど、どちらになさいますか?」。全身黒ずくめで、恰幅のいいお婆さん。かなり濃ゆーいキャラクター。「えっ、いまから聞くの?」と思ったけれど、口には出さすに、サバを注文する。そして、ご飯が出てから3分ほど経って、サバの煮付けは運ばれてきた。湯バーバならぬ、飯バーバの雰囲気を漂わせながら。

食事の味はごく普通。でも値段が安いから、コストパフォーマンスは高いと言えるのだろう。店の看板には「おふくろの味」と回ってあったけれど、むしろ「ばあさんの味」。数十年ほどのタイムスリップ感覚を味わえた。

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2009年6月24日 (水)

復活した堀川

Dsc03290 京都の市街地の西側を流れる堀川。かつては水が流れていたが、下水道の整備などによって昭和の半ば頃に水流が途絶えたそうだ。僕は学生時代にも京都に暮らしていたけれども、当時は「ドブ川」といった印象しか残っていない。

しかし賀茂川から水を引き、水流を復活させるという工事が1997年から10年以上の年月をかけて進められてきた。そして今年の3月に、いよいよ水が流されて、4.4キロメートルの清流が現れた。掘川の上流部分は、川幅も狭く、水の流れも速い。そして水力発電装置も設置されている。下流に向かうにつれて、川幅やだんだん広くなり、水の流れもゆるやかになってゆく。さらさらと流れる水は、子供たちには格好の遊び場のようだ。少なからぬ子供が水しぶきを上げている。

Dsc03296_2 都市部の清流の復活というと、韓国ソウル市内の清渓川(チョンゲチョン)が有名で、こちらは5.8キロをわずか2年間で改修し、そのうえ川の上を走っていた高架の高速道路を撤去したという、チョー荒業的な事業をやってのけている。当時のソウル市長は、現・韓国大統領の李明博さん。

ソウルでの取り組みに比較すると、京都の取り組みはスローで、それほどピーアールされているとは思われない。奥ゆかしい京都である。

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2009年6月22日 (月)

竹の温室で、トマトの栽培

Dsc03289 最近、京都のなかに竹でつくられた温室が最近できたらしい。京都大学やホテル、造園会社、竹材店などによる共同プロジェクトで、市街地での農産物生産の新たな方向を探ることを目的とするそうだ。透明度の低いシートで覆われているため、なかの様子はよく見えないが、トマトが育てられているようだ。

かつては多様な用途で竹が利用されていた。軽くて、加工しやすく、弾力がある。支柱などの農業資材はもちろんのこと、建築資材、いろいろなカゴやザル、うちわ、耳かき、おもちゃ・・・・。しかしプラスチック製品が普及するようになると、竹は利用されなくなってきた。そのうえ中国から価格の低い竹製品が入ってくる。

すると国内の竹林には人の手が入らなくなり、竹林は荒れ放題。竹の成長力は旺盛なため、付近の雑木林などにも勢力を拡大し、いまでは竹は厄介もの扱いされる始末である。だから、この温室のように竹の新たな用途が開発されることは好ましいことだと言えるだろう。

温室ではなく、露地でトマトを育てる方が、環境負荷は少ないと考える人もいるだろう。たしかに温室をつくるためには相応のエネルギーは必要となる。ただし高温多湿の日本において、美味しいトマトをつくるには、温室は大きな役割を果してくれる。

トマトの原産地はアンデスの乾燥地で、湿気や土中の水分が多すぎると、トマトは美味しくならない。日本では雨除けがあった方がいい。ときどき「昔のトマトは青っぽくて、素朴な味わいがあった」と言う人がいるけれど、トマトへの理解不足からの言葉である。多くの人から支持される農業を成立させるには、美味しいものをつくることが最も大きな条件のひとつだろう。

竹の温室でのトマトの栽培。それなりの成果が上がることを期待したい。

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2009年6月17日 (水)

ハイグレード自転車の乗りやすさ

Dsc03287 京都駅のすぐ近くに京都サイクリング・ツアー・プロジェクト(KCTP)というレンタルサイクル店がある。ただビジネスとして自転車を貸し出すのではなく、街を自転車で走る楽しさを伝え、自転車の乗り方の正しいマナーなども広めようとしている。旅行代理店と共同企画による自転車ツアーを企画していたり、オリジナルの自転車もつくっていたりする。

そして、この店では古くなった自転車を中古自転車として販売している。古くなっているから車体に汚れはあるものの、しっかりメンテナンスしてあるので、機能そのものは新車と大差ない。八段変速のオリジナル自転車の中古車を購入した。新車の3分の1程度の値段である。

非常に乗りやすい。ギアをローに入れると、かなりの坂道でも楽に登ることができる。ギアの切り替えも非常にスムース。平坦な道路では、ギアを徐々に上げてゆく。トップに入れて、力を入れてペダルこげば、おそらく時速50~60キロはゆうに出るだろう。

じつは京都に引っ越してくる前、このレンタルサイクル店を何度か利用したことがある。ただし体力に自信があるので、グレードの高い自転車は借りず、いつもレンタル料金の安い標準車を借りていた。標準車もじゅうぶん乗りやすかったのだが、ハイグレード車(中古)を購入して初めて、その乗りやすさを実感した。レンタル料金も、値段は正直である。

本当に使いやすいものをつくれば、高くても売れるのだろう。

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2009年6月15日 (月)

そして京都

Dsc03285 京都に引っ越し、ようやく落ち着いた。学生時代に京都で過ごしたことがある。二十数年ぶりの京都での生活である。単身赴任なので、当時と同じく京都での一人暮らしである。どうせ住むのなら京都らしいところに住もうと思い、東山の麓で、観光名所からも近い、街のなかでアパートを借りることにした。大家さんは湯豆腐屋さんで、1~2階が店舗である。

それまでは東京の下町、葛飾区に住んでいた。生活に密着した多くの小売店などが近所にあった。とても便利だった。いっぽう観光地の街なかは必ずしも便利ではない。むしろ不便さを感じたりもする。

しかし、ふと考えてみる。僕は、日本海に面した小さな田舎町で、生まれ育った。京都の観光地よりも、ずっと不便であったにもかかわらず、当時は不便さをまったく感じることはなかった。

田舎町から京都に出てみて、田舎町が不便であったと感じるようになった。そして便利な東京に住んでみて、京都の街なかが不便だと感じるようになる。不便は、便利な生活によってつくりだされる。

とりあえず京都を楽しもうと思う。

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2009年6月 2日 (火)

20世紀マーケティングの終焉

アメリカ最大の自動車メーカー、ゼネラルモータースが経営破綻した。09年の1~3月期の四半期だけで、最終赤字額は約60億ドルにのぼったそうだ。とてつもない金額である。

かつてGMのマーケティングは非常に優れていたと評価された時期があった。アメリカの自動車メーカーのパイオニアといえば、フォードモータースで、もともとフォードはT型フォードという実用的なクルマをつくっていた。いっぽうGMは1920年代頃から、クルマにデザイン性を持たせて、複数のブランドをつくりだしてゆく。

そして定期的にモデルチェンジを行い、従来の車種を陳腐化し、新たな購買意欲を刺激してゆく。移動という機能だけではなく、クルマにファッション性を持たせてゆく。それによって拡大再生産の輪をどんどん大きくしていった。ほどなくGMは、フォードを追い抜き、世界一の自動車メーカーになった。

GMの経営破綻。それは大量生産・大量消費を追及した20世紀型マーケティングの終焉を象徴していないだろうか。

100年に1度の経済危機だと言われている。GMが設立されたのは、いまから約100年前の1908年である。時代は変わってゆく。

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