初めての天然農薬、生物殺虫剤
大小3カ所の畑で、週末ファーマーとして有機農業の真似事を行っている。有機農業であるから農薬を使わずに、手作業で虫を排除してゆく。つまり虫を潰していく。とはいっても、すべてを排除できるわけではなく、いくらか虫たちは残るし、作物は喰われることになる。しかし作物が元気に育っていれば、多少は虫に食われても、収穫物を手にすることができる。かりに、葉もの野菜に虫に食われた跡が、いくらか残っていたとしても大きな問題でない。一部はお裾分けするけれども、大半は自家消費である。
元気な作物を育てるには、健康で力のある土が前提となる。しかし3カ所の畑うち1カ所、今年から借りることになった100坪の畑は、どうも地力が弱い。今年の5月~6月の気温が低かったことも手伝って、他の2カ所と比較すると、作物の生育がかなり遅れている。気温が低ければ、害虫の発生も少なくても良さそうなものだが、こちらの方は例年通り。ブロッコリーやピーマンなどの葉で被害が大きい。育ちが悪いから、できるだけ多くの虫を排除しなくてはならない。しかし1匹1匹を手作業で駆除しても、なかなか追いつかない。急に暑くなってきたし、おまけに湿度が高い。熱中症になりかねない。
そこで農薬を使うことにした。農薬といっても、化学物質ではなく、BT剤と呼ばれる生物殺虫剤である。BT剤とは、いわば天然農薬で、有機農業においても使用が認められている。パチルス・チューリンゲンシス(BT)という細菌が殺虫性のあるタンパクを生産し、このタンパク質をチョウやガの幼虫が食べると、幼虫の消化管が溶けて、ほどなく死に至る。人間や哺乳類には無害である。このBT剤を使うのは、生まれて初めての経験である。はたして、どの程度の効果があるのか、経過を見守ってゆこう。
排除される虫の側からすると、どのように排除されるのが望ましいのだろうか? おそらく次のような順番ではないだろうか。
1) 他の生物に捕食されて、即死(他の生物の身体の一部となる)。
2) 人間の手によって潰されて、即死(微生物に分解されて土に帰る)。
3) 天然の毒(生物殺虫剤)を盛られて、悶絶死。
4) 人間のつくった化学的な毒を盛らて、悶絶死。
他の2カ所ではBT剤がなくても、作物は育っている。今年BT剤を散布した畑も、来年は散布しなくても作物が育つ土をつくってゆこうと思う。そして可能なら、虫が他の生物に捕食されるような関係性もつくっていきたい。
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