2008年7月 5日 (土)

初めての天然農薬、生物殺虫剤

大小3カ所の畑で、週末ファーマーとして有機農業の真似事を行っている。有機農業であるから農薬を使わずに、手作業で虫を排除してゆく。つまり虫を潰していく。とはいっても、すべてを排除できるわけではなく、いくらか虫たちは残るし、作物は喰われることになる。しかし作物が元気に育っていれば、多少は虫に食われても、収穫物を手にすることができる。かりに、葉もの野菜に虫に食われた跡が、いくらか残っていたとしても大きな問題でない。一部はお裾分けするけれども、大半は自家消費である。

元気な作物を育てるには、健康で力のある土が前提となる。しかし3カ所の畑うち1カ所、今年から借りることになった100坪の畑は、どうも地力が弱い。今年の5月~6月の気温が低かったことも手伝って、他の2カ所と比較すると、作物の生育がかなり遅れている。気温が低ければ、害虫の発生も少なくても良さそうなものだが、こちらの方は例年通り。ブロッコリーやピーマンなどの葉で被害が大きい。育ちが悪いから、できるだけ多くの虫を排除しなくてはならない。しかし1匹1匹を手作業で駆除しても、なかなか追いつかない。急に暑くなってきたし、おまけに湿度が高い。熱中症になりかねない。

6そこで農薬を使うことにした。農薬といっても、化学物質ではなく、BT剤と呼ばれる生物殺虫剤である。BT剤とは、いわば天然農薬で、有機農業においても使用が認められている。パチルス・チューリンゲンシス(BT)という細菌が殺虫性のあるタンパクを生産し、このタンパク質をチョウやガの幼虫が食べると、幼虫の消化管が溶けて、ほどなく死に至る。人間や哺乳類には無害である。このBT剤を使うのは、生まれて初めての経験である。はたして、どの程度の効果があるのか、経過を見守ってゆこう。

排除される虫の側からすると、どのように排除されるのが望ましいのだろうか? おそらく次のような順番ではないだろうか。
 1) 他の生物に捕食されて、即死(他の生物の身体の一部となる)。
 2) 人間の手によって潰されて、即死(微生物に分解されて土に帰る)。
 3) 天然の毒(生物殺虫剤)を盛られて、悶絶死。
 4) 人間のつくった化学的な毒を盛らて、悶絶死。

他の2カ所ではBT剤がなくても、作物は育っている。今年BT剤を散布した畑も、来年は散布しなくても作物が育つ土をつくってゆこうと思う。そして可能なら、虫が他の生物に捕食されるような関係性もつくっていきたい。

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2008年7月 4日 (金)

国産ソバを推奨する自動販売機

東京・霞ヶ関の官庁街。すべての中央省庁の建物の入口には、警備員が立っている。その昔は、そんなこともなかったけれど、いまでは身分証明書や会議への参加票を提示しなければ、建物の中に入ることはできない。とても物々しい。日本の行く末に関わる情報が集まっている場所であるから、仕方がないと言えば、仕方がない。ただし中央省庁のなかでも、誰もが気軽に入れる場所がある。そのひとつが農林水産省の北側1階にある職員食堂。つい最近、リニューアルされた。

3当然のことながら、農林水産省は国産の農産物を推奨する立場にある。だから職員食堂で利用される食材も、国産農産物が優先すべきなのだろう。しかし、そうは問屋が卸さないようだ。公的機関であるから、いろいろな業者にオープンであるべきなのだろう。まして特定の食材の価格が明らかに高ければ、そちらを仕入れるのは経済的に合理的ではないと受け取られる可能性がある。そこで、ひと工夫が必要になる。

ソバを食べるときには、自動販売機で食券を購入する。低価格の輸入ソバと割高の国産ソバが用意されているようで、国産ソバを食べるには、別途に「国産ソバに変更」という食券も購入することが必要である。80円の追加料金を払うことになる。そもそも職員食堂の料金はもとから安いし、追加料金の80円ぐらいは、農林水産省に勤務する国家公務員の人たちにとっては、痛くも痒くもない金額のはずである。

7僕が頼んだのは、日替わりメニューの「冷やし鴨南蛮ソバ」500円と「国産ソバに変更」の80円で、合計580円。値段のわりには美味しかったと思う。

この職員食堂は、お昼の休憩時間を外せば、客は少なくてガラガラである。すぐ近くはオフィス街であり、また隣には日比谷公園がある。しかし知らない人も多いと思う。穴場の食堂である。

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2008年7月 3日 (木)

カーボンオフセットのマーケティング

あるコンビニエンスストア・チェーンが、先月末からカーボンオフセットの飲料水を発売している。カーボンオフセットとは、人間の経済活動を通して排出した二酸化炭素を、植林やクリーンエネルギーの開発などによって、相殺(オフセット)しようという考え方である。このコンビニ・チェーンでは2種類の商品が対象になっていて、1本買うたびに1キロの二酸化炭素がオフセットされる。もとになる排出量(権利)のクレジットは、アルゼンチンのパタゴニア地方の火力発電所を、風力発電に転換することで発生した排出量を購入したそうだ。京都メカニズムのCDMを利用したものである。

アルゼンチンのパタゴニアは、いつか旅したいと思っている場所である。そんなこともあって、このコンビニをのぞいてみた。幸いというか、無駄というか、僕の職場のすぐ近所には、このコンビニ2軒もある。それも道路を挟んで斜す向かにある。すでに売り切れたのか、1軒目の店では対象商品は見つからなかった。2軒目の店では、2つ商品のうち、1種類だけが置かれていた。話のネタに買ってみようかなと思ったけれども、やっぱり止めた。水筒を持ち歩いているから、必要ない。それに変わり映えのしない商品だし。

意外だと感じたのは、排出量つきの飲料水の価格が、他の同等商品と同じだったことである。このところのCDMによる二酸化炭素クレジットの価格は、1トン当たり3000円弱であるから、1キロの二酸化炭素をオフセットすると、1本当たり3円ほどコストが上ることになる。およそ150円の商品にとっては、決して小さな金額ではない。

しかしコスト上昇分を商品価格に転嫁すると、売れ行きが悪くなる恐れがある。そこで他の商品と同じ水準にしたのだろう。企業としては、ごく一部の特定商品からの利益が減ったとしても、トータルで利益を確保できればいい。ということは、特定商品において二酸化炭素の排出量を削減できたとしても、トータルとしては二酸化炭素排出量が減らない、ないし増える可能性さえある。消費者にとっては、二酸化炭素削減のための選択肢が増えたことになるが、それが大きな二酸化炭素排出の上に成り立っているように思えて、すっきりしない。

そもそもカーボオフセットを行うとしたら、しっかりと消費を絞り込んだうえで行うべきではないだろうか。いくつもの陳列棚があって、山のような飲料水がある。そのなかに埋もれるようにして、それほど特徴的でないカーボンオフセット商品がある。ないよりは、あった方がいいけれど、違和感がある。ロハスというコンセプトと同じように、カーボンオフセットもマーケティングのなかに組み込まれている。それならそれで、もっと徹底的に魅力的な商品にすればいいと思うのだが。そしたら買ったかもしれない……。

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2008年7月 2日 (水)

オーガニックな防虫線香

「○○の夏、日本の夏」。このコピーが蚊取り線香のテレビコマーシャルに使われるようになったのは1966年である。当時の平均気温は、現在と比較すると0.5℃ほど低かったし、ヒートアイランド現象もそれほど深刻でなかった。ルームエアコンの普及率も3%程度で(現在は約9割)。多くの家は網戸から風を呼び込み、そして家の中では蚊取り線香を焚いていたのだと思う。昔ながらの日本家屋の造りは開放的だった。だから「○○の夏、金鳥の夏」というテレビコマーシャルには涼しさが感じられたし、実際に、夜は涼しかったような気がする。

蚊取り線香には殺虫成分が含まれているが、もともとは除虫菊から抽出された天然由来の成分が使われていた。しかし時代の流れともに、化学的に合成された物質が用いられるようになってきた。ただし考えてみれば、天然由来であっても、化学物質であっても、殺虫成分である。人間への影響はゼロとは言えないだろう。そのうえ家の造りは、かつてのような開放性は失われてきている。蚊取り線香を焚くと、殺虫成分を含む煙が室内に滞留することになる。

8そこで、蚊取り線香ではなく、防虫線香。蚊を殺すのではなく、蚊を寄せつけない線香。除虫菊から抽出した蚊の忌避成分を主材料とし、その他の材料もすべてが天然由来の成分である。効き目は蚊を殺すまでには至らない。そして除虫菊も農薬を使わずに生産されている。ソフトで、オーガニックな線香である。1箱30巻で、値段は900円足らず。じゅうぶんリーズナブルな値段である。

東京23区内であるけども、幸いにして、我が家の前には生産緑地が残っていて、ちょうど風の通り道となっている。そのため一部の居室は、夜になると非常に涼しい(今年は寒いくらい)。だから夏でも、エアコンはめったに使わない(中古物件を購入したので、エアコンがある)。できるだけオーガニックな夏を送りたいと考えている。

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2008年7月 1日 (火)

映画『バグズワールド』

映画『バグズワールド』。フランス語の原タイトル ’La.Citadelle.Assiegee’ (城砦の包囲)に示されているように、西アフリカの巨大アリ塚を舞台に繰り広がられる2種類のアリ戦いの物語である。登場するアリは4種類であるが、オオキノコシロアリとサスライアリの2つの群れに焦点が絞られて、ストーリーが展開されてゆく。

オオキノコシロアリは、数ヶ月かけて高さ3~4メートルのアリ塚を築く。アリ塚の中には数キロにも及ぶ地下道が張り巡らされ、空洞が複雑に入り組んでいる。煙突効果によって、数日ないし数時間でアリ塚内の空気は交換され、湿度や温度が一定に保たれている。オオキノコシロアリのエサになるのは、枯枝や植物の茎である。それだけではなく、彼らは自分たちの排泄物をもとに、アリ塚内でキノコを生産している。

いっぽうのサスライアリは、文字通り、固定的な巣はつくらずに、移動しながら生活している。一匹一匹のありは小さいけれども、束になって蛇を殺したり、あるいは小さな身体を絡ませて、アリの身体による仮設の橋をつくり、川を渡ってゆく。獰猛で、軍隊のような集団である。映画の中でも、黒の軍団と呼ばれている。

ずっと日照りが続いていたある日、ふいにハゲワシが現れる。不吉な出来事の予兆である。アリ塚に予期せぬアクシデントが降りかかり、堅牢なアリ塚に穴が開く。オオキノコシロアリは懸命にアリ塚の復旧作業を進める。ところが2千万匹ものサスライアリの大群が戦いを挑んでくる。まもなく壮絶な戦いの火蓋が切って落とされる。迫力あるBGM。戦士の雄たけびにも似た音響。アリたちの鎧が砕かれる音。戦況厳しく、追い詰められてゆくオオキノコシロアリ。はたして勝利の女神は、どちらに微笑むのか……。戦争映画さながらの演出である。

エンターテイメント映画としては、面白く出来上がっていたと思う。昨年の秋以降に公開された『北極のナヌー』や『アース』などが、いわゆる癒し系のエコ映画だとしたら、この『バグズワールド』はアクション系のエコ映画だと言えるだろう。自然の出来事というより、人間の手が入ったストーリーのようにも感じられるけれど、それにしても映像はよく撮れている。

ただし、オオキノコシロアリの生態について、もう少し詳しい情報があった方が良かったのではないだろうか。例えば、オオキノコシロアリのエサになる枯れ枝や植物の茎は、他の生物たちが消化できないものである。そしてシロアリだけでも消化しきれず、シロアリは体内に原生動物を住まわせることで、消化を促している。他の生物が消化しきればないエサは、当然のことながら栄養バランス(C-Nバランス)が悪いわけで、それを補うためにアリ塚でキノコを育てている。いわばアリ塚のなかで共生システムをつくっている。

付け加えると、シロアリが食べるのは、いわば枯れた木であって、生きている植物は食べない。そしてシロアリは植物繊維を消化する過程でメタンガスを生成し、それは地球上で発生するメタンガスの1~2割にも上ると言われている。二酸化炭素と比べると、メタンガスは21倍の温室効果がある。シロアリは、地球温暖化のひとつの要因であるが、人間による森林伐採にも深い関係がある。

しかしオオキノコシロアリにしても、サスライアリにしても、すごいと思う。特別な指示命令系統があるわけではない。にもかかわらず臨機応変に、組織だった行動がとられ、その群れならではの秩序がつくられてゆく。集団に知恵が宿っている。偉大なDNAのなせる技だろう。

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2008年6月28日 (土)

コンポストのなかの季節

猫の額ほどの庭の一角に、コンポスト容器を置いている。ズボラな性格なので、フタを被せることなく、生ゴミを放り込んでゆく。生ごみの中には野菜の種や切り株があり、コンポスト容器の中で新しい芽を出すものもあるはずである。しかしフタを被せていないので、いろんな虫たちがやってくるし、トカゲなどの小動物も来る。そのため芽を出しても、すぐ食べられてしまう。コンポスト容器を抜け出るまでに大きく成長するものは、ごく一部である。

Dsc02599いま顔を出しているのはサトイモである。青々とした楕円形の葉っぱを大きく広げている。近くの畑で育てているサトイモよりずっと元気そうだ。コンポスト容器に放り込んだのはタネイモではなく、サトイモの皮である。しかし、さすがに栄養が豊富にある場所である。皮からでも大きく育つ。

3月下旬には、コンポスト容器からジャガイモが芽を出し、その後、ひょろひょろと枝を伸ばし、いまは枯れかかっている。おそらく、いくらかはイモを実らせているはずである。しかし少なからぬ量を、虫たちに食われているだろう。そして虫たちの排泄物が、今度はサトイモの栄養分になる。コンポスト容器の中にも循環がある。循環があるのは、太陽の光が差し込むためである。

一般にはコンポスト容器を使うときは、悪臭を防ぎ、またハエなどの侵入を防ぐために、しっかりフタをするようにと言われている。しかしフタをしなくても、それほど気にはならない。コンポスト容器のなかの季節の移ろいを楽しめる。

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2008年6月27日 (金)

エコジャパンカップに応募しよう

三井住友銀行では、環境省などと協力して、3年前からエコジャパンカップというイベントを開催している。エコビジネスの芽を発掘し、育成することを目的としたもので、ビジネス、アート、ライフスタイルの3つの部門でのコンクールがある。エコロジカルな商品やビジネス、アイデアなどを応募し、優れたものは表彰される。三井住友銀行では、エコビジネスを育成することを銀行の重要な責務と位置づけているそうで、エコジャパンカップにも大きな力が入れられている。そのことは、約1千万円に及ぶ賞金総額に現れている。

今年もいよいよエコジャパンカップ2008が始まり、参加登録ができるようになった。エコに関心のある人、あるいは実践している人、ぜひ応募してみてください。何事も経験ですから。

Dsc02596じつは昨年、ものは試しと、エコジャパンカップ2007のライフスタイル部門に応募したところ、運も手伝って入選できた(写真は、雑誌『環境ビジネス』での紹介記事)。12月に行われた表彰式には、三井住友銀行の奥頭取、小池・元環境相も参加されていて、なかなか面白かった。受賞者のなかには、旧知もいたりして、久しぶりに親交を暖めた。アイデアがあれば、今年もライフスタイル部門に応募したいのだが、残念ながらネタがない(本音を言うと、賞金の大きなビジネス部門に応募したいけれど、応募資格がない)。

マイ箸、マイボトル、マイ農園、生ごみの肥料化、省エネ、風車への出資、クルマは持たず、などなど。普段からエコには心がけているつもりだけど、それらは当たり前すぎる。コンクールという性質上、ユニークなアイデアでなければ、選ばれない。なので、現在、ネタを仕込んでいる。2年ほどかけて、ユニークなスタイルを作り上げ、再度、エコジャパンカップに挑戦したいと思っている。

たしかにユニークなものは大切だと思う。ただし、いっぽうでマイボトルや省エネなどの当たり前すぎる地道な活動も評価されるべきである。地道な活動が大きく広がったとしたら、温室効果ガスも大幅に削減されるはずである。しかし、それは簡単なことではない。どうしたらいいのか。非常に難しい(かなり高い環境税という選択肢もあるが)……。地道な活動を大きく広げる。それを実現する具体的仕組み示すことができたら、エコジャパンカップで入賞できるかもしれない。

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